ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
目次
はじめに
会社法では「大会社」「小会社」で、適用される条項も変わってきます。
司法書士試験でも、商法の問題を解く上で大事になってきます。
では、「大会社」「小会社」は何が違うのか、今回は会社法の観点から書いていきます。
会社法上の「大会社」とは?
あなたの「大会社」のイメージはどんなイメージ?
あなたが「大会社」と聞くと、以下のイメージを持つでしょう。
- きっと規模が大きい会社
- 日本でも指折りの会社
- 有名な会社
さまざまな印象を持つでしょう。
では、会社法でいう「大会社」とはどういう意味でしょうか?
会社法の条文に「大会社」の根拠がある
会社法では第2条に定義規定があります。
大会社の定義も会社法第2条6号に規定されています。
大会社とは
又は
負債の額が200億円以上である会社
をいいます。
公開会社であろうが、非公開会社であろうが、上記条件を満たせば「大会社」になります。
大会社の注意点は?
大会社となる時点は?
問題点は、事業年度の途中で、「大会社」の要件を満たした場合、いつの地点から大会社になるのか。
まずは、資本金4億円の会社が増資して5億円となった場合、いつから大会社となるか?
増資した日にすぐに大会社の規定が適用されるのかというとそうではありません。
最終の事業年度にかかる貸借対照表上に計上され、株主総会で承認されたときから大会社になります。
なので、例えば3月決算の会社で6月に定時株主総会で貸借対照表等の計算書類が承認された場合、定時株主総会の時から大会社になります。
資本金が1000万円でも大会社になる?
上記定義いくと、負債の額が200億円以上であれば、大会社です。
これは資本金の額とは関係ありません。
なので、資本金の額が1000万円であっても、負債の額が200億円以上であれば、大会社です。
さらに、大会社要件を満たすとなると、機関設計も大会社のものにしなければなりません。
つまり、監査役と会計監査人を設置する必要があるのです。
その会社が役員変更登記を法務局に申請する場合、登録免許税は1万円になるので、注意が必要です。
大会社に課される義務
大会社は、株主や債権者が多く、また規模が大きいため、いかの。
そのため、大会社には以下の特有の義務が課されています。
- 大会社が公開会社である場合の、監査役会、監査等委員会又は指名委員会等の設置義務
- 会計監査人の設置義務
- 業務の適正を確保するための体制の整備義務
- 貸借対照表及び損益計算書又はこれらの要旨の公告義務
- 有価証券報告書提出会社における連結計算書類の作成義務
まとめ
大会社になると、規模が大きくなり、利害関係者も多くなるため、さまざまな義務が課されます。
また、世間一般からも注目されるので社会的な責任もあります。
- 公開会社でなくても大会社になる。
- 大会社は小会社と比べると色々な制約を受ける。
このことを理解しておきましょう。
今回は
『「大会社」「小会社」は会社法上ではどういう意味ですか?』
に関する内容でした。
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公開会社と上場会社は意味が同じなの?【司法書士の業務日誌】 – 司法書士行政書士きりがやブログ(きりログ)
参考書籍
非公開会社・子会社のための会社法実務ハンドブック | ||||
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株式会社法〔第7版〕 | ||||
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会社法 第2版 | ||||
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