東京都江戸川区葛西駅前
会社設立などの企業法務・相続専門
司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一です。
目次
はじめに
司法書士の同業から、会社法第319条の
みなし株主総会で添付すべき株主リストに
ついて質問を受けました。
総株主の同意があれば、株主総会決議が
あったものとみなされるのが会社法
第319条第1項の趣旨です。
その総会で、登記すべき事項があった場合、
株主リストにはどのような記載が必要
なのでしょうか?
今回はちょっとマニアックな
「株主リスト」の論点となります。
株主リスト~みなし株主総会で登記事項があった場合の「株主リスト」は?
会社法第319条の趣旨は?
会社法第319条第1項
取締役又は株主が株主総会の目的である
事項について提案をした場合において、
当該議案につき(当該事項について
議決権を行使することができるものに限る。)
の全員が書面又は電磁的記録により同意の
意思表示をしたときは、当該議案を可決する
旨の株主総会の決議があったものとみなす。
中小零細企業等で、株主が1名もしくは
少数の場合、わざわざ招集手続をするのも
面倒な場合、上記規定を用いることが
あります。
議決権を行使することができる株主全員の
同意の意思表示があれば、株主総会の決議
があったものとみなされます。
みなし株主総会の決議があった場合の議事録は?
商業登記規則第46条第3項
登記すべき事項につき会社法第319条第1項
(一部省略)の規定により株主総会又は
種類株主総会(一部省略)の決議があった
ものとみなされる場合には、申請書に前項
の議事録(株主総会議事録等)に代えて、
当該場合に該当することを証する書面を
添付しなければならない。
みなし株主総会の場合にも、議事録に相当
するものを作成して、登記の申請をする
必要があります。
「株主リスト」は株主全員の氏名・住所・株式数・議決権の数で足りるのか?
みなし株主総会の場合、株主全員の同意が
ないと成立しないので、みなし株主総会で
登記事項が発生した場合、「株主リスト」
は商業登記規則第61条2項に記載されて
いる
- 株主全員の氏名又は名称及び住所
- 各株主が有する株式の数及び議決権の数
さえ記載されていれば足りそうだと
思われがちです。
しかし、商業登記規則第61条第3項を
読むと、
登記すべき事項につき株主総会(一部略)の
決議を要する場合には、申請書に、
総株主(一部略)の議決権(当該決議
(会社法第319条第1項(同法第325条に
おいて準用する場合を含む。)の規定
により当該決議があったものと
みなされる場合を含む。)・・・
となっています。
つまり、みなし株主総会の場合は、
商業登記規則61条3項の「株主リスト」を
添付しなければならないことになります。
そうなると、61条2項にない
当該株主のそれぞれが有する議決権に
係る当該割合
を記載した「株主リスト」を添付する
必要があります。
ここは注意が必要です。
まとめ
長々と書きましたが、今回の結論は
会社法第319条第1項のみなし株主総会の
場合に、登記すべき事項につき
株主リストを添付しなければならない
場合の株主リストは商業登記規則第61条
第3項の株主リストになる
ということを押さえておいてください。
ちなみに、株主総会の決議で登記すべき
事項につき決議した場合、議決権総数の
3分の2に達するまでの人数の株主(11名
以上いる場合は10名の株主)の
- 氏名又は名称
- 住所
- 株主ごとの株式の数と議決権数
- 株主ごとの議決権割合
を記載した「株主リスト」が必要と
いうことを再度確認しておきましょう。
参考書籍
株主リストの添付と株主名簿整備の実務
永渕 圭一 日本法令 2016-10-04
|
ブログに載せられなり実務の情報も満載!
日々の思っていることを書いている
「司法書士・行政書士桐ケ谷淳一の日々を楽しく!」
メルマガ登録はこちらから!