目次
はじめに
こんにちは、東京都江戸川区船堀に事務所を構える司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
前回は相続税・贈与税の土地評価に関する特例に焦点を当てました。
まだご覧になっていない皆様は、ブログにも書きましたので、ぜひ「あわせて読みたい」から前回のブログをお読みください。
今回は、事業承継や相続税対策に欠かせない「株式の評価」について取り上げます。
株式評価は適切な事業承継計画を策定し、相続税の負担を適正に保つために不可欠です。
適切な評価方法の選定は、事業の持続可能性と財務の健全性を支える鍵となります。
今回もFP2級の試験範囲での紹介にとどめますので、詳しく知りたい方は、税理士に相談してください。。
この本では、FP試験に必要な知識だけでなく、実際に役立つファイナンシャルプランニングの技術についても学べます。
株式の評価:上場株式の評価
上場株式については、次の(1)~(4)のうち、最も低い価額で評価します。
(1)課税時期(相続開始時)の最終価格
(2)課税時期の属する月の毎日の最終価格の平均
(3)課税時期の属する月の前月の毎日の最終価格の平均
(4)課税時期の属する月の前々月の毎日の最終価格の平均
株式の評価:取引相場のない株式の評価
特に中小零細企業の事業承継において重要になるのが、取引相場のない株式の評価です。
評価方法としては、「類似業種比準方式」、「純資産価額方式」、「併用方式」、特例的に「配当還元方式」があります。
類似業種比準方式:
上場している類似業種企業の株価を基に、配当、利益、簿価純資産額の3つの要素を加味して評価額を算定します。
純資産価額方式:
その会社の純資産額を相続税評価額(時価)で評価し、発行済み株式数で割り、1株あたりの評価額を算定します。
併用方式:
類似業種比準方式と純資産価額方式を併用します。
配当還元方式:
その会社の直前2期間の配当金額をもとに評価額を算定します。
取引相場のない株式の評価方法の計算式
計算式を具体的に示すことは避け、各評価方法の概念を簡単に理解していただくための説明にとどめています。
詳細な計算や具体的なケーススタディについては、専門の税理士に相談することを推奨します。
・類似業種比準方式
1株あたりの評価額
=A×(b/B+c/C+d/D)/3×斟酌率×1株あたりの資本金等の額/50円A:類似業種の株価
B:類似業種の1株あたりの配当金額
C:類似業種の1株あたりの年利益金額
D:類似業種の1株あたりの純資産価額
b:評価会社の1株あたりの配当金額
c:評価会社の1株あたりの年利益金額
d:評価会社の1株あたりの純資産価額
斟酌率:大会社は0.7、中会社は0.6、小会社は0.5
・純資産価額方式
1株あたりの評価額
=相続税評価額による純資産額-(相続税評価額による純資産額-簿価価額による純資産額)×37%(法人税の実効税率)/発行済株式総数
・配当還元方式
1株あたりの評価額
=年配当金額/10% × 1株あたりの資本金等の額/50円
評価方法の選定
まずは取得者が同族株主等のうち一定の者である場合は、
- 大会社であれば類似業種比準方式(または純資産価額方式)
- 中会社であれば併用方式(または純資産価額方式)
- 小会社であれば純資産価額方式(または併用方式)
となります。
同族株主以外の株主の場合は、会社の規模にかかわらず配当還元方式となります。
なお同族株主とは、株主の1人及びその同族関係者で、その会社の議決権を30%以上を有している場合の株主グループをいいます。
ただし、株主の1人およびその同族関係者グループで、その会社の議決権の50%を有している場合には、その株主グループのみが同族株主となります。
まとめ
株式の評価は複雑で専門的な領域です。この記事で紹介した内容は基本的なものですが、ご自身の事業に具体的にどのように適用するかは、専門の税理士に相談することを強くお勧めします。
また、事業承継や相続の際の法的なご相談は、中小零細企業の法務サポートをしている当事務所にお問い合わせください。
事業の将来をしっかりとサポートするため、詳しい情報や具体的な手続きの支援を提供しています。
詳しくは当事務所のウェブサイトをご覧いただくか、直接お問い合わせください。
参考
「取引相場のない株式の評価」(国税庁HP)
今回は
『株式評価ガイド:相続税と事業承継のための戦略を司法書士・行政書士が紹介』
に関する内容でした。
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