東京都江戸川区「6回目でやっと司法書士試験に合格した「相続・商業登記を軸とした中小企業支援業務」の専門家」「登記業務を通じてお客様に寄り添う」 資格試験アドバイザー 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
目次
はじめに
親子で考える「生前相続対策」。
なかなか子供が相続対策のことを話しても親はなかなか聞く耳を持たないのが現実です。
今回は親子で考える「相続対策」の一つ、遺言について考えていきましょう。
なぜ「遺言書」を書く必要があるのか?
遺言書は、将来、自分が亡くなった後のことを考える時に大事なものです。
遺言書がないと、自分の持ってる財産(預貯金や不動産など)が誰の手に渡るかで、家族間でケンカが起こったりして、相続人間で不満を持ったりします。
あなたが「みんな平等に」と思っても、実際はそう簡単にいきません。
なので、自分の想いや、誰に何をあげたいかをきちんと書いておく「遺言書」は大事になります。
生前相続対策で、「遺言書の作成」は最も対策をしやすいです。
相続の生前対策とは何か?
相続の生前対策とは、遺言書の作成、生命保険の活用、財産の名義変更など、相続人が亡くなった後の手続きやトラブルを減らすために、生前に行う様々な計画や手続きのことを指します。
亡くなってから問題が表面化する前に、生前でできることをあらかじめ予想して対策を講じることだと理解してください。
これには、資産の整理や相続税の対策も含まれます。
親が元気なうちの生前対策はできる選択肢が広いので、いろいろ対策を講じることができます。
しかし、生前対策でも親が認知症になってしまうと、遺言ができなくなったりして、選択肢がかなり狭くなります。
なので、早めの対策が必要なのです。
遺言書の種類を押さえておきましょう!
遺言には「普通方式」と「特別方式」がありますが、親子で考える遺言の場合は「普通方式」を採用します。
普通方式には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3つがあります。
概略を紹介します。
・自筆遺言遺言
これは、自分で原則全て手書きするタイプ。
用紙(自筆証書保管制度を利用する場合以外は用紙は自由)に「この家は息子に」とか自分で書いて、最後に日付と署名と捺印をするだけ。
手軽にできるメリットはありますが、書き方や訂正方法を間違えるとすべて無効になることもあったり、あとで「これ本当にあなたが書いたの?」となる可能性があるデメリットがあります。
自筆証書遺言の場合、紛失することもデメリットとしてありますが、自筆証書遺言を法務局で保管する制度もありますので、活用する手はありです。
・公正証書遺言
これは、公証人(公的な証明をする人)と証人2名がいる前で作る遺言書。
公的な証明がつくから安心感が高いですし、公証役場に遺言書を保管するので紛失するデメリットは解消されます。
しかし、こ公正証書遺言の場合、公証人に支払う手数料があり、費用がかかってしまいます。
実務的には、公正証書遺言を利用する方が多いです。
・秘密証書遺言
秘密にしたいことを遺言に書きたいときに使う方法。
内容は秘密にしておきながら、公証人を通してその存在と正式さを保証できます。
中身は公証人がチェックするわけではありませんし、手続きも面倒で証人も用意する必要があります。
各種遺言書の比較
各遺言書には、メリットとデメリットがあります。
比較表を作ってみましたので、自分の状況に適した「遺言書」を書く際の参考にしてください。
遺言書の種類 | 特徴 | メリット | デメリット | 適している場合 |
自筆証書遺言 | 自分で全文を手書きし、日付と署名をする。 |
・専門家不要で費用がかからない ・手軽に作成可能 |
・書き方や保管に誤りがあると無効になるリスクあり ・紛失や破損の危険性 ・遺言の存在を家族が知らない場合がある |
・簡単で費用をかけずに遺言を作成したい人 |
公正証書遺言 | 公証人と証人2名の前で作成し、公証人役場で保管される。 |
・法的な保証が高い |
・公証人への手数料が必要 ・手続きが比較的複雑 ・公証人役場まで行く必要がある |
・遺言の安全性や法的な保護を重視する人 ・相続が複雑で、書式の誤りを避けたい人 ・遺言書の紛失や破損を心配する人 |
秘密証書遺言 | 内容を他人に知られずに遺言を作成。内容は封筒に入れ、その封筒を公証人と証人が封印し、公証人役場で保管される。 | ・内容を秘密にできる ・公正証書遺言と同様に法的保証が得られる |
・手続きが最も複雑 ・公正証書遺言と同様に手数料がかかる ・内容が公証人によって確認されないため、形式的なミスで無効になる可能性がある |
・遺言の内容を秘密にしたいが、法的保証も求める人 ・家族に知られたくない特定の財産の分配を指定したい人 |
相続人の数や財産の複雑さ、家族関係の良好さなどによって、最適な遺言書の形式は異なります。
個人的には、まずは気軽に始めるのであれば自筆証書遺言からスタートし、一定のリスク回避をはかります。
そのうえで、しっかりした遺言書を書きたくなった段階で公正証書遺言に移行するのが理想です。
遺言書作成時の注意点
遺言書を有効にするためには、法律的な要件を満たす必要があります。
明確な財産の記述、相続人の特定、および遺言の意思表示が重要です。
あわせて、なぜその遺言を書いたのか、そのような分け方をしたのか、あなたの思いを伝えるために「付言事項」は記載するべきです。
また、遺言書の保管方法にも注意を払い、無効や紛失、破損を防ぐ措置が求められます。
いきなり遺言書を書くのはハードルが高いので、まずは「エンディングノート」で自分自身の棚卸しをしてから遺言書を書き始めることを私はおすすめしています。
まとめ
遺言書の作成は、相続計画における核心的なステップです。
親子でこのテーマに取り組むことで、将来のトラブルを防ぎ、相続人への財産の意志を明確に伝えることができます。
遺言書の種類を理解し、自身の状況に合った最適な方法を選択することが、円滑な相続への鍵となります。
親子間で相続についてオープンに話し合い、適切な遺言書の作成に取り組むことをお勧めします。
分からないことがあれば、司法書士や行政書士に聞きながら親子で一緒に考えることがより重要になります。
今回は
『相続の不安を解消する一歩:親子で取り組む遺言書作成ガイド』
に関する内容でした。
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