東京都江戸川区 ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 資格試験アドバイザー 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
目次
はじめに
今年から数年にわたり民法等の一部改正や不動産登記法が改正されます。
そのうちの一部の改正が4月1日に改正されます。
実務でも影響しそうな「所有者不明土地・建物管理制度の改正点」について紹介します。
今回は「所有者不明土地・建物管理制度」の概要を中心に紹介します。
今回も法務省の資料をもとに紹介します。
管理人による管理の対象となる財産
まずは今回の所有者不明土地・建物管理制度の対象となる財産から書いていきます。
管理命令の効力は、所有者不明土地(建物)のほか、土地(建物)にある所有者の動産、管理人が得た金銭等の財産(売却代金等)、建物の場合はその敷地利用権(借地権)に及ぶとされていますが、その他の財産には及ばないとされています(新民法264条の2第2項、264条の8第2項)。
所有者不明土地上に所有者不明建物がある場合、土地・建物両方を管理命令の対象とするためには、土地管理命令と建物管理命令の両方を申し立てる必要があります。
土地・建物の管理人を同一の人にすることもできますが、土地・建物の所有者が異なる場合等では、利益相反の可能性も考慮して慎重に判断されます。
なので、土地・建物が別々の管理人となることもあり得ることに注意です。
申立権者は誰になるのか?
申立をすることができる者は、所有者不明土地・建物の管理について利害関係を有する利害関係人となります(新民法264条の2第1項、264条の8第1項)。
利害関係人になりうる者の例としては、公共事業の実施者など不動産の利用・取得を希望する者、共有地における不明共有者以外の共有者が該当します。
なお、地方公共団体の長等には、所有者不明土地管理命令の申立権の特例があります。
発令要件について
発令されるためには要件を満たしていることが必要です。
まずは、調査を尽くしても所有者又はその所在を知ることができないことが必要です。
さらに、管理状況等を照らし、管理人による管理の必要性があることも要件になってきます。
処分の是非等の方的判断が必要となる場合(売却代金額の相当性の判断や、数人の者の共有持分を対象として管理命令が発せられ、誠実公平義務の履行が問題となる場合も含む)では、弁護士・司法書士を、境界の確認等が必要となる場合は土地家屋調査士を管理人として選任することが考えられています。
区分所有建物については、所有者不明建物管理制度は適用されないことにも注意です。
所有者の調査方法の例として、登記名義人が自然人である場合は、登記簿、住民票上の住所、戸籍等を調査します。
登記名義人が法人である場合は、法人登記簿上の主たる事務所の存否のほか、代表者の法人登記簿上・住民票上の住所等を調査します。
所有者が法人でない社団である場合は、代表者及び構成員の住民票上の住所等を調査することになります。
なお、事案に応じて現地調査が求められることもあります。
まとめ
今回は所有者不明土地・建物管理制度の要件や申立権者、発令要件などを紹介しました。
管理人の権限や義務、手続の流れについては、また改めて紹介します。
今回は
『令和5年4月1日に民法等の一部が改正されます!「所有者不明土地・建物管理制度の改正点の概要」について江戸川区の司法書士・行政書士が解説』
に関する内容でした。
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