令和5年4月1日に民法等の一部が改正されます!「遺産分割に関する見直し」について江戸川区の司法書士・行政書士が解説

東京都江戸川区 ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 資格試験アドバイザー 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。

はじめに

今年から数年にわたり民法等の一部改正や不動産登記法が改正されます。

そのうちの一部の改正が4月1日に改正されます。

今回は、実務でも影響しそうな「遺産分割に関する見直し」について紹介します。

今回も法務省の資料をもとに紹介します。

遺産共有関係の解消の必要性

今までのブログでは、共有関係の改正点を中心に紹介しました。

共有で多いパターンの一つが「遺産共有関係」です。

まず原則として、相続が開始し、相続人が複数いると、相続財産(不動産や預貯金など)は、共有となります(現民法898条など)。

遺産が共有関係の状態だと、各相続人の持分権が互いに制約し合う関係に立ち、遺産の管理に支障をきたします。

遺産分割がされないまま相続が繰り返されて多数の相続人による遺産共有関係になると、遺産の管理、処分が困難になります。

共有状態のままだと、相続人の一部が所在不明になってしまうリスクが高く、所有者不明土地などの問題が生ずる可能性もあります。

本来は遺産共有関係は、遺産分割により速やかに解消されるべき暫定的なものであり、遺産分割による遺産共有関係の解消は、所在者不明土地の発生予防の観点からも重要です。

遺産分割に関する見直しの改正の概要

遺産分割に関する見直しの概要は以下のとおりです。

具体的相続分による遺産分割に時的限界を設けることによる遺産共有関係の解消の促進と円滑化

相続開始後長期間が経過し、通常共有持分と遺産共有持分が併存する場合の分割方法の合理化

相続開始後長期化が経過し、相続人の所在等が不明な場合の不動産の遺産共有持分の取得方法などの合理化

遺産分割については、通常は相続人全員の話し合いで分割し、共有状態を解消するのが原則です。

しかし、相続人全員の協議で合意できない場合は、家庭裁判所での遺産分割審判・調停による方法となります。

遺産分割の基準は、法定相続分又は指定相続分ではなく、具体的相続分の割合になります。

法定相続分・指定相続分・具体的相続分の内容

法定相続分とは、民法であらかじめ定められている画一的な割合をいいます。

例えば、配偶者と子供2名の場合には、配偶者が2分の1、子供が4分の1ずつとなります。

指定相続分とは、遺言により被相続人等が指定した割合のことを言います。

具体的相続分とは、法定相続分・指定相続分を事案ごとに修正して算出する割合のことをいいます。

個々の相続人の具体的相続分及び具体的相続分率の計算式は以下のとおりです。

個々の相続人の具体的相続分
=(①みなし相続財産の価額(相続財産の価額+特別受益の総額-寄与分の総額)×②法定相続分又は指定相続分)-③個々の相続人の特別受益(生前贈与等)の価額+④個々の相続人の寄与分の価額

具体的相続分の割合(具体的相続分率)
=各相続人の具体的相続分の価額の総額を分母とし、各相続人の具体的相続分の価額を分子とする割合

まとめ

遺産分割に関する見直しは、共有に関する見直しが行われたため、見直しされた部分があります。

4月からの実務の動きに注目です。

今回は
『令和5年4月1日に民法等の一部が改正されます!「遺産分割に関する見直し」について江戸川区の司法書士・行政書士が解説』
に関する内容でした。

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司法書士・行政書士 桐ケ谷 淳一

鉄道(乗り鉄・撮り鉄両方)と麻婆豆腐・担々麺をこよなく愛する司法書士・行政書士です。
ひとり会社設立、副業・複業、小さな会社の企業法務の分野を得意としています。
1977年1月 東京生まれ東京育ち
2000年 日本大学法学部法律学科卒業
2004年 司法書士試験合格
2005年 行政書士試験合格
2007年 東京都江戸川区葛西駅前にて司法書士事務所・行政書士事務所を開業
2017年 平成27・28年施行改正会社法・商業登記規則、役員変更登記の注意点(株式会社レガシィから)のCD・DVDを出しました。

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