令和5年4月1日に民法等の一部が改正されます!「所有者不明土地・建物管理制度の改正点の概要その2」について江戸川区の司法書士・行政書士が解説

東京都江戸川区 ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 資格試験アドバイザー 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。

はじめに

今年から数年にわたり民法等の一部改正や不動産登記法が改正されます。

そのうちの一部の改正が4月1日に改正されます。

実務でも影響しそうな「所有者不明土地・建物管理制度の改正点の概要」について紹介します。

今回は前回に続き「所有者不明土地・建物管理制度」の概要を紹介します。

今回も法務省の資料をもとに紹介します。

管理人の権限・義務など

管理人に選任された場合の権限・義務が民法で新たに規定されています。

対象財産の管理処分権は管理人に専属し、所有者不明土地・建物などに関する訴訟(例えば不法占拠者に対する明渡請求訴訟)においても、管理人が原告又は被告となります(新民法264条の4、264条の8第5項)。

管理人は、保存・利用・改良行為を行うほか、裁判所の許可を得て、対象財産の処分(例えば売却や建物の取壊しなど)をすることもできるようになります(新民法第264の3第2項、264条の8第5項)。

売却の際には、管理人は、借地関係等の利用状況や売買の相手方を慎重に調査することが求められています。

不明相続人の遺産共有持分について選任された管理人は、遺産分割をする権限はありませんが、遺産共有持分に係る権限の範囲内での管理行為や処分をすることはできます。

管理人は、所有者に対して善管注意義務を負います。

また、数人の共有者の共有持分に係る管理人は、その対象となる共有者全員のために誠実公平義務を負います(新民法264条の5、264条の8第5項)。

管理人は、所有者不明土地等(予納金を含む)から、裁判所が定める額の費用の前払・報酬を受けることができます。

なお、費用・報酬は所有者の負担となります(新民法264条の7第1項、第2項)。

土地・建物の売却等により金銭が生じたときは、管理人は、供託をして、その旨を公告する必要があります。

手続の流れ

まずは申立て・証拠提出から始まります。

管轄裁判所は、不動産所在地の地方裁判所になります。

申立権者は利害関係人となります。

管理費用の確保のために基本的に予納金の納付が必要です。

次に、1か月以上の異議届出期間等を定めて、公告する必要があります。

そのあと、管理命令の発令・管理人の選任が行われます。

一部の共有者が不明であるときは、その持分を対象として発令されます。

管理人としては、事案に応じて、弁護士・司法書士・土地家屋調査士が選任されます。

管理命令の嘱託登記により、選任の事実が公示されます。

その後管理人による管理が行われます。

一定の職務が終われば終了となり、管理命令の取消がなされます。

売却代金は管理人が供託し・公告がなされます。

管理命令が取り消される場合は、管理すべき財産がなくなるなどの管理の継続が相当でなくなったときです。

その後管理命令の登記が抹消されます。

まとめ

今回は所有者不明土地・建物管理制度の管理人の権限・義務、手続の流れに関して紹介しました。

所有者不明土地・建物管理制度がどれだけ活用されるのか、改正後の実務の動きに注目です。

今回は
『令和5年4月1日に民法等の一部が改正されます!「所有者不明土地・建物管理制度の改正点の概要その2」について江戸川区の司法書士・行政書士が解説』
に関する内容でした。

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司法書士・行政書士 桐ケ谷 淳一

鉄道(乗り鉄・撮り鉄両方)と麻婆豆腐・担々麺をこよなく愛する司法書士・行政書士です。
ひとり会社設立、副業・複業、小さな会社の企業法務の分野を得意としています。
1977年1月 東京生まれ東京育ち
2000年 日本大学法学部法律学科卒業
2004年 司法書士試験合格
2005年 行政書士試験合格
2007年 東京都江戸川区葛西駅前にて司法書士事務所・行政書士事務所を開業
2017年 平成27・28年施行改正会社法・商業登記規則、役員変更登記の注意点(株式会社レガシィから)のCD・DVDを出しました。

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