取締役の就任承諾の際に添付する本人確認証明書とは?議事録に住所の記載が必要な場合とは?江戸川区の司法書士が解説

東京都江戸川区 ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 資格試験アドバイザー 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。

はじめに

今回役員改選のために株主総会を開催します。
役員変更登記に際して住民票を添付しなければならないと聞きましたが、本当でしょうか。

ある経営者からの質問です。

役員変更登記に際して、平成27年に商業登記ほうが改正されて、添付書面も増えています。

今回は役員変更登記における「本人確認証明書」について書いていきます。

本人確認証明書が必要な場合はどんなときか?

役員変更登記に際して、株主総会で新たに取締役や監査役に就任したときに添付します。

商業登記規則第61条第7項で、以下のように規定されています。

設立の登記又は取締役、監査役若しくは執行役の就任(再任を除く。)による変更の登記の申請書には、設立時取締役、設立時監査役、設立時執行役、取締役、監査役又は執行役(以下この項及び第百三条において「取締役等」という。)が就任を承諾したこと(成年後見人又は保佐人が本人に代わつて承諾する場合にあつては、当該成年後見人又は保佐人が本人に代わつて就任を承諾したこと)を証する書面に記載した取締役等の氏名及び住所と同一の氏名及び住所が記載されている市町村長その他の公務員が職務上作成した証明書(当該取締役等(その者の成年後見人又は保佐人が本人に代わつて就任を承諾した場合にあつては、当該成年後見人又は保佐人)が原本と相違がない旨を記載した謄本を含む。)を添付しなければならない。ただし、登記の申請書に第四項(第五項において読み替えて適用される場合を含む。)又は前項の規定により当該取締役等の印鑑につき市町村長の作成した証明書を添付する場合は、この限りでない。

商業登記規則第61条7項

条文の趣旨からすると、新たに取締役や監査役に株主総会で選任された場合に「本人確認証明書」を添付することになります。

ただし、再任の場合やその者の印鑑証明書を添付する場合には、本人確認証明書は不要です。

前者の場合、役員変更登記を失念して、権利義務取締役となったものが再度再任された場合に該当します。

同一人物で「退任」「就任」と役員変更では登記されますが、一瞬「就任」となるので、再度本人確認証明書が必要かと思われがち。

しかし、登記実務では「再任」と同じになるので、別途本人確認証明書は不要です。

後者の例は、非取締役会設置会社の取締役が該当します。

非取締役会設置会社の取締役は就任登記に際に就任承諾書に実印を押印し、印鑑証明書を添付します。

この場合、「就任」にあたりますが、別途本人確認証明書は不要となります。

就任承諾書に住所の記載が必要

取締役や監査役が選任された場合、就任承諾書の添付が必要となります。

就任承諾書には、商業登記規則第67条1項で「就任を承諾したことを証する書面に記載した氏名及び住所」となっています。

なので、就任承諾を証する書面には「住所・氏名」の記載は必須です。

ただ、株主総会の席上で被選任者が就任を承諾した場合、議事録にその旨を記載しておけば、別途就任承諾書の添付は不要となります。

登記申請書には「就任承諾書は、株主総会の記載を援用する」と記載すれば足ります。

ただし、この方法を使えるのは、被選任者が株主総会に出席している場合であるのが実務の扱いです。

被選任者が株主総会に出席せず、議長から被選任者の就任承諾について内諾を得ていた旨の報告があっただけでは、株主総会議事録をもって就任承諾を証する書面とすることはできません。

株主総会議事録を就任承諾を証する書面として援用する場合は以下の注意点があります。

株主総会議事録を就任承諾の援用書面として使用する場合の注意点

繰り返しになりますが、被選任者が株主総会に出席して、席上就任承諾の意思表示を明確にしていれば、就任承諾書について議事録の記載を援用できます。

その時注意することは、株主総会議事録に就任者の住所を記載する必要があること。

就任承諾を証する書面に住所を記載することが法律上要求されているためです。

なので就任承諾書を議事録の記載を援用する場合、議事録に住所を記載しなければ、登記申請は受理されません。

ただ、議事録に住所を記載することになると、議事録は株主や会社債権者が閲覧請求すればみることができます。

どうしても個人情報が議事録に載るのが嫌だという場合は、就任承諾書を用意させたほうがいいです。

なお、再任の場合は、就任承諾書について議事録を援用する場合であっても、住所の記載は不要です。

新任と再任を議事録に記載するほうが分かりやすくて個人的にはいいかと思います。

本人確認証明書の中身とは?

取締役や監査役が新たに就任する場合「本人確認証明書」が必要となります。

これは被選任者の就任承諾書に記載されている住所と証明書に記載されている住所が一致することで本人の実在性を証するためです。

本人確認証明書としては、被選任者が原本証明した運転免許証やマイナンバーカードの写し、住民票や印鑑証明書、戸籍附票の写しが該当します。

パスポートは住所の記載がないため「本人確認証明書」としては利用できないところに注意してください。

あわせて、住民票や印鑑証明書などの公的書面について、有効期限はありません。

ただし、あまりに古いものをつけるのはどうかと思うので、できれば最新のものを添付してください。

まとめ

取締役や監査役が新たに就任する場合は本人確認証明書が必要

就任承諾を証する書面には被選任者の住所の記載が必要

就任承諾書につき議事録の記載を援用する場合、議事録に住所の記載が必要

本人確認証明書は運転免許証やマイナンバーで本人の原本証明をしたものや住民票などが該当

今回は
『取締役の就任承諾の際に添付する本人確認証明書とは?議事録に住所の記載が必要な場合とは?江戸川区の司法書士が解説』
に関する内容でした。

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司法書士・行政書士 桐ケ谷 淳一

鉄道(乗り鉄・撮り鉄両方)と麻婆豆腐・担々麺をこよなく愛する司法書士・行政書士です。
ひとり会社設立、副業・複業、小さな会社の企業法務の分野を得意としています。
1977年1月 東京生まれ東京育ち
2000年 日本大学法学部法律学科卒業
2004年 司法書士試験合格
2005年 行政書士試験合格
2007年 東京都江戸川区葛西駅前にて司法書士事務所・行政書士事務所を開業
2017年 平成27・28年施行改正会社法・商業登記規則、役員変更登記の注意点(株式会社レガシィから)のCD・DVDを出しました。

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