認知症になりかけたときに不動産を売ることができるのかを知りたいです!司法書士・行政書士が解説!
東京都江戸川区葛西駅前 ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 資格試験アドバイザー 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
目次
はじめに
「成年後見制度」
最近、不動産を所有している人が認知症になりかけているが、不動産を売却できるのかという質問を受けました。
正直、この話を受けたとき、司法書士の私としては、ピンときてしまうところがあります。
なぜ、ピンときてしまうのか、今回はこのあたりを紹介します。
認知症になりかけたときに不動産を売ることができるのかを知りたいです!
認知症になりかけている人が不動産を売却できるのか?
司法書士の立場として、まず売主に対して本人確認を職責及び法律上の観点から行う必要があります。
売主本人であることを確認するとともに、本当にこの不動産を売る意思があるのかをしっかりと確認するためです。
当然売る意思がなければ、不動産の売買は中止にせざるを得ません。
売主の周り(特に親族が多い)が本人が売りたがっているといっていても、司法書士がこれは厳しいと思ったら止めざるを得ません。
不動産を売却したことで後々のトラブルになってしまうことが出てきてしまいます。
実際に認知症になってしまった場合不動産は売れないのか?
結論から書くと認知症になってしまった方が不動産を売却するのは難しいです。
そこで、認知症になった方が不動産を売らざるを得ない場合、どのような手続きをする必要があるのか?
この場合は、成年後見制度を活用するしか方法はありません。
売主を成年被後見人として、家庭裁判所に成年後見の申立をいたします。
その上で、別途後見人になった人が被後見人に代わって売却手続きをすることになります。
ただ、成年後見制度を活用しても一筋縄にはいかないのが不動産の売買となります。
本当に不動産を売る必要があるのか?家庭裁判所の許可が必要
居住用不動産(被後見人が住んでいる不動産)について売却するときは、家庭裁判所に売却許可の申立をする必要があります。
ただ、売ってもいいですかという許可を出すだけではなく、売却価格の妥当性を示すため、不動産の査定書を出したり、不動産を売らないといけない理由を示す必要があります。
特段理由がない、売却しなくても現金が十分ある場合には家庭裁判所は許可をださない傾向にあるようです。
正直、誰も住む予定がなく、被後見人も戻れる見込みもないのであれば空家にしておくよりも不動産を売却して経済を活発化すべきであると私は思っています。
家庭裁判所は被後見人の財産を減らす行為にはとことん慎重な傾向にあるので、そのあたりをもっと柔軟にしていかないといけません。
つまり、被後見人の不動産を売却したくても正当性がないと、家庭裁判所の許可は出にくいことになります。
まとめ
不動産を早めに処分したいと思ったら、元気なうちに対策を講じておくことが重要です。
場合によっては、元気な状態のときに売主からの資産から切り離せる「民事信託」の活用も検討すべきです。
元気なときにやっておかないと、いざとなったときに不動産の売却は難しくなりますし、手続きが面倒なことになります。
今回は
『認知症になりかけたときに不動産を売ることができるのかを知りたいです!司法書士・行政書士が解説!』
に関する内容でした。
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