認知症対策と相続 認知症になってしまうと相続対策の選択肢が狭まることを意識 司法書士が解説
東京都江戸川区葛西駅前 ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 資格試験アドバイザー 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
目次
はじめに
高齢化社会が進み、より問題となってくるのが認知症の問題。
認知症になってしまうと、本人では意思表示ができず、後見制度を活用せざるを得ません。
後見制度を利用すると、被後見人の口座は凍結されてしまい、家族であっても自由に被後見人の財産を使うことができなくなります。
それとともに、意思表示が絡む相続対策も難しくなります。
令和新時代の相続として、認知症になる前に、ある程度の相続対策を講じる必要があるのです。
今回は、先日メルマガでも書いた「認知症と相続」のことについて紹介します。
認知症対策と相続 認知症になってしまうと相続対策の選択肢が狭まることを意識
認知症になってしまうとなぜ相続対策が難しくなるのか?
まず、認知症になってしまうと相続対策が難しくなることについて触れていきます。
認知症の方を見ていると普段穏やかな感じで過ごしている方が多いです。
しかし、判断能力が鈍ってしまうのが認知症の特徴です。
例えば、数分前の状況をはっきりと覚えていなかったり、家族のことをおぼえていなかったり、生活状況もままならないことも出てきます。
法律的にいうと、被後見人になると行為制限能力者ということになり、一定の法律行為について、後見人が被後見人に代わって手続きをせざるを得なくなります。
さらに判断能力が衰えてしまうため、自分の意志で法律行為ができないということになり、相続対策もままならなくなることを押さえておいてください。
遺言書は認知症の方でも書けると聞いたが…
遺言書を認知症の方は書けるのか?
遺言書を作るのは、遺言能力があればできると法律では定められています。
認知症の方も、遺言能力があれば、医師2人の立ち会いのもと、遺言書を作成することができます。
ただ、法律上ではそのような扱いになっていますが、基本は認知症の方が遺言書を作成することはほぼ不可能と思ってください。
仮に被後見人の遺言能力がその当時あった場合には、できれば公正証書遺言にするとか工夫が必要になります。
おそらく多くは認知症の状況で遺言書を書くと、相続開始時に争いになることは確実だと思ってください。
もしくは認知症にならなくても、高齢の場合に自筆証書遺言をすると、相続開始時にトラブルになるケースも散見されます。
なので、認知症になる前に、元気なうちに遺言書の作成はしておくべきです。
家族信託(民事信託)も認知症になると結べない
最近は家族信託のこともマスコミで紹介され、だいぶ浸透してきました。
認知症になり、後見制度が開始されると、被後見人の財産は自由に使えなくなり支障をきたすこともあります。
そのため、昨今では認知症対策の一環として「家族信託」を組成する方が増えています。
ただ、「家族信託」も本人の判断能力が必要のため、意思能力・判断能力がはっきりしていない状況で結ぶのは難しいと思ってください。
後見制度回避のために家族信託を活用することも考えられますが、内容をしっかり理解しないままの信託の組成はリスクを伴います。
「家族信託」は契約の一種である以上、意思能力が必要であることをご確認ください。
まとめ
いずれにしても、本人の判断能力が衰えた段階での家族信託の契約は難しい。
さらには遺言書の作成ともなると、判断能力がないのになぜ書けるのかと相続開始時に争いになるのは必至です。
なので、元気なうちにある程度の相続対策を講じることがこれからの時代重要になります。
相続対策でわからないことがあればご連絡ください。
今回は
『認知症対策と相続 認知症になってしまうと相続対策の選択肢が狭まることを意識 司法書士が解説』
に関する内容でした。
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