事前の相続対策基礎編 認知症になると何ができなくなるのか?司法書士が解説します

事前の相続対策基礎編 認知症になると何ができなくなるのか?司法書士が解説します

東京都江戸川区葛西駅前 ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 資格試験アドバイザー 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。

はじめに

よく認知症になると財産が凍結しますとか言われています。

認知症はこれからの高齢化社会では避けて通れない問題です。

今回は、認知症になってしまうと何ができなくなるのかをまとめていきます。

相続基礎編 認知症になると何ができなくなるのか?

自分の判断で法律行為ができなくなる

認知症の方と接する機会がありますが、数分前のこととか忘れがちです。

正直自分の行動も覚えていないのが認知症の特徴です。

なので、その人が例えばお金を使って高額のものを購入するとなると、財産はどんどん減ってしまい、まずいことになってしまいます。

そこで認知症の方で判断能力が劣っている人を法律で保護する必要があります。

そこで、判断能力が劣っている人を「成年被後見人」として扱うこととし、成年被後見人の代わりに「成年後見人」が代わって法律行為をすることになります。

なので、成年被後見人が単独で法律行為をすることができなくなります。

成年被後見人になるとできなくなってしまう不都合なことは?

成年被後見人が自分のお金の管理をすることは基本できません。

成年後見人が成年被後見人に代わってお金を管理し、成年被後見人のためにお金を使うことになります。

なので、成年被後見人が自宅を勝手に処分することはできませんし、銀行からお金を下ろすこともできなくなります。

さらには、成年被後見人が亡くなった人から財産をもらうとき、遺言書がなければ遺産分割協議をしますが、その遺産分割協議も成年被後見人ではすることはできません。

遺言も成年被後見人が判断能力がないときはすることができませんが、判断能力が一定時期に回復したときは、医師2人の立ち会いのもと遺言書を作成することは可能です。

ただ、法律で成年被後見人が遺言書を作成できる場合があると定めていますが、現実は不可能だと思ってください。

このように、認知症になってしまうと、自分の意思で自分の財産を勝手に処分できなくなってしまいます。

正直、それは家族にとっても不便なことです。

施設に入居させたいから自宅を売りたい場合どうするか?

認知症の人が自宅を売却して施設費用を捻出したい場合、どうやって対処すべきか。

まずは判断能力がないことになるので成年後見制度を活用します。

その上で成年後見人から自宅を売却するための家庭裁判所の許可を得る必要があります。

その許可を取るのが結構面倒で、不動産の査定書を出したり、売却する理由などを書面で提出する必要があります。

自宅の他にも多くの財産(現金化できるもの)がある場合は、自宅の売却の許可を出さないこともあります。

認知症対策として民事信託を活用する

このように認知症になってしまうと、自分の思ったとおりに財産を動かすことができなくなります。

そこで最近「民事信託」を活用する動きが出ています。

自宅や預貯金を信託しておけば、万が一自分が認知症になったときも、その財産の中から工面すればいいので、自由度が増します。

最近、認知症対策として「民事信託」を表に出している業者もありますが、契約そのものをしっかり理解しないで契約すると、いざ活用したいときにできないこともあります。

民事信託は最近流行ってきていますが、しっかり司法書士や弁護士などの専門家を利用してください。

まとめ

認知症になってしまうと法律行為ができず、身動きが取れなくなります。

認知症による生前の相続の対策もできなくなるので、元気なうちから相続対策をしっかりしてください。

今回は
『事前の相続対策基礎編 認知症になると何ができなくなるのか?司法書士が解説します』
に関する内容でした。

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司法書士・行政書士 桐ケ谷 淳一

鉄道(乗り鉄・撮り鉄両方)と麻婆豆腐・担々麺をこよなく愛する司法書士・行政書士です。
ひとり会社設立、副業・複業、小さな会社の企業法務の分野を得意としています。
1977年1月 東京生まれ東京育ち
2000年 日本大学法学部法律学科卒業
2004年 司法書士試験合格
2005年 行政書士試験合格
2007年 東京都江戸川区葛西駅前にて司法書士事務所・行政書士事務所を開業
2017年 平成27・28年施行改正会社法・商業登記規則、役員変更登記の注意点(株式会社レガシィから)のCD・DVDを出しました。

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