「個人事業主から法人化へのサポートをする会社設立アドバイザー」
東京都江戸川区葛西駅前
司法書士・行政書士桐ケ谷淳一です。
現物出資で気をつけなければいけないことは?
「金銭出資の他にパソコンを会社に現物出資して株式会社を作りたいが、何か問題はありますか?」
これから会社設立をしようと思っている方の中には、金銭出資の他に自分で持っているパソコンを会社用として使いたいという考えもあるでしょう。
その時に気をつけなければならないことを書きます。
検査役の調査が必要な場合と例外
まずは、現物出資を行う場合、定款に記載する必要があること、裁判所から選任された検査役の調査が必要であることについては前回書きました。
その際、例外がありますということも書きました。
その例外というのが
- 市場価格のある有価証券であり、定款に記載された価額(定款の認証の日における最終市場価格)を超えない場合
- 定款に記載の価額が相当であると弁護士、税理士等の証明(不動産はさらに不動産鑑定士の鑑定評価が必要)を受けた場合。
- 現物出資の総額が500万円以下の場合。
これらに当てはまれば、検査役の調査が不要です。
検査役の調査をすると時間と費用がかかってしまうので、株式会社設立にあたっては、検査役の調査がなるべく不要となるように現物出資を行なうことが肝心です。
ただ、2の場合においては、弁護士や税理士、不動産鑑定士に対する報酬が発生しますので、確認しておくことが大事です。
財産の価額はいくらにすればいいのか?
定款には、現物出資する財産の価額を記載しなければなりません。
その際の価額ですが、厳密な時価ではなく、発起人が当該財産の価額として合意した価額でいいとされています。(商業登記ハンドブック第3版75ページ)
実際にはその財産に見合った価額を書くのが一般的でしょう。
後で定款に記載された金額と現物出資した財産の金額が著しく不足していた場合は発起人と調査した設立時取締役は不足額を支払う義務が生じてしまいます。
まとめ
現物出資するときの注意点としては、
- 極力現物出資する財産については検査役の調査を要しない方法で行う
- 定款に記載された財産の価額と現物出資した価額が不足しないように気をつける
です。
個人的には、株式会社設立の際は金銭出資のほうが手間をかけずにできると思っています。
実は登記申請する際も添付書面が増えてしまいます。
そのことについては、また次回。
今回もご覧頂きありがとうございました。
感想を聞かせて頂けると嬉しいです。
商業登記ハンドブック〔第3版〕
松井 信憲 商事法務 2015-05-20
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