東京都江戸川区葛西駅前
会社設立などの企業法務・相続専門
司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一です。
目次
はじめに
以前、会社設立の際、仮想通貨を出資の対象とすることができることを紹介しました。
これから増えそうな予感がしていたところ、早速仮想通貨を活用した会社設立をした会社があると新聞で紹介されていました。
会社設立登記 仮想通貨を用いた設立案件がでてきた?
仮想通貨を出資する場合のやり方はどうするか?
仮想通貨は金銭でも有価証券でもないため、出資方法としては現物出資となります。
現物出資を行う際は、定款に、出資者として発起人を記載し、現物出資財産として仮想通貨の内容と価額、割り当てる設立時発行株式を記載します。
今回紹介されていた会社は、金銭出資と仮想通貨による現物出資と両方で行います。
別に仮想通貨のみで会社設立を行うことも可能です。
おそらく仮想通貨だけだと、設立時のレートがどうなるかわからないため、金銭出資と併せて会社設立を行うことにしたと思われます。
仮想通貨の活用を巡る諸問題は?
現状、仮想通貨をどのように活用するか、まだはっきりしたところは見えていません。
平成30年3月16日に企業会計基準委員会が、一応会計ルールを策定しました。
保有する仮想通貨は原則として期末に時価評価し、価格変動に応じて損益に計上する方法を採用するとのこと。
細かいルールはこちらを御覧ください。
資金決済法における仮想通貨の会計処理等に関する当面の取扱い(企業会計基準委員会実務対応報告第38号)
これから、仮想通貨を使った会社設立が多くなると思われます。
しかし、個人的意見ですが、仮想通貨のレートの変動が激しいため、資本金の額より多めに仮想通貨を現物出資したほうがいいような気がします。
仮想通貨の現物出資の課題は?
仮想通貨の出資は現物出資に該当することは触れました。
仮想通貨を出資した場合、定款に記載します。
そして、発起人は定款認証後遅滞なく、現物出資の事項を調査させるため、裁判所に対し、検査役の選任を申し立てる必要があります。
ただし、検査役の調査が不要な場合があります。
ひとつは、定款に記載された仮想通貨の価額の総額が500万円を超えない場合です。
ただ、仮想通貨の場合、価格の変動が激しいため、株式の割当ての際十分配慮しないと、発起人の責任問題に発展しますので注意が必要です。
あと、仮想通貨について定款に記載された価額が相当であることについて弁護士、公認会計士、税理士の証明を受けた場合です。
なので、弁護士等が仮想通貨の相当な知識が必要です。
本当に仮想通貨の価額が相当なのかは、仮想通貨の仕組みと価格レートとを比べながら行う必要があり、より慎重な判断が求められるでしょう。
まとめ
おそらく仮想通貨を利用した会社設立は少額であれば行われていたかもしれません。
今後は仮想通貨を活用した会社設立も増えてくると思われ、仮想通貨の活用ルールは早急に整備する必要があるでしょう。
今回は
『会社設立登記 仮想通貨を用いた設立案件がでてきた?』
に関する内容でした。
会社設立に関する書籍はこちら
登記官からみた 株式会社設立登記の実務
横山 亘 日本法令 2013-06-13
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