東京都江戸川区葛西駅前
会社設立などの企業法務・相続専門
司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一です。
目次
はじめに
仮想通貨
最近世間でも話題になっていますよね。
これからは仮想通貨の世の中になっていくのでしょうか?
ところで、仮想通貨ですが、会社設立の際の出資することができるのでしょうか?
会社設立 仮想通貨を会社の出資の目的とすることができるのか?
仮想通貨とはそもそも何か?
仮想通貨は法律で以下のように定められています。
資金決済に関する法律第2条第5項
この法律において「仮想通貨」とは、次に掲げるものをいう。
一 物品を購入し、若しくは借り受け、又は役務の提供を受ける場合に、これらの代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができ、かつ、不特定の者を相手方として購入及び売却を行うことができる財産的価値(電子機器その他の物に電子的方法により記録されているものに限り、本邦通貨及び外国通貨並びに通貨建資産を除く。次号において同じ。)であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの
二 不特定の者を相手方として前号に掲げるものと相互に交換を行うことができる財産的価値であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの
仮想通貨は、必ずしも発行者も管理者もいないという状況です。
そこで、仮想通貨と法定通貨の売買などを行う交換所に登録制を課すこととしています。
さて、仮想通貨は、金銭もしくは有価証券に該当するのでしょうか。
まず、法律第2条第5項で「本邦通貨及び外国通貨並びに通貨建資産を除く」と規定されています。
また、資金決済に関する法律第2条第6項で「通貨建資産」を次のように定義しています。
資金決済に関する法律第2条第6項
この法律において「通貨建資産」とは、本邦通貨若しくは外国通貨をもって表示され、又は本邦通貨若しくは外国通貨をもって債務の履行、払戻しその他これらに準ずるもの(以下この項において「債務の履行等」という。)が行われることとされている資産をいう。この場合において、通貨建資産をもって債務の履行等が行われることとされている資産は、通貨建資産とみなす。
つまり、預金・債券なども「仮想通貨」から除かれることを意味しています。
「仮想通貨」を会社設立時出資できるか?
貸金決済に関する法律からすると、「仮想通貨」は現段階では、現金にも有価証券にも該当しないということになります。
となると、仮想通貨を会社設立に出資するとなると現物出資の方法によらざるを得ないということになります。
ちなみに現物出資の目的とする財産については、貸借対照表に資産として掲げることができるものである限り、その種類は問わないとされています。
車とかパソコンとかの動産、土地・建物の不動産を始め、特許権等の権利、工業技術上のノウハウ等、さらには営業の全部又は一部も現物出資の対象となります。
(商業登記ハンドブック第3版75頁)
仮想通貨も資産となるので、現物出資の対象になるということだと思われます。
会社設立時の現物出資の方法は?
先程も書きましたが、仮想通貨を現物出資したい場合は、
- 仮想通貨を出資する者(発起人のみ)
- 現物出資財産とした仮想通貨及びその価値(仮想通貨の現物出資時のレートを示すことになろうかと思われます)
- 株式割当数
を定款に記載することになります。
そして、定款認証の後遅滞なく、裁判所に対し、検査役の選任を申し立てる必要があります。
しかし、以下の場合には、検査役の調査を要しないとされています。
- 現物出資財産等について、定款に記載された価額の総額が500万円以下である場合
- 現物出資財産等のうち、市場価格のある有価証券について定款に記載された価額が市場価格以下である場合
- 現物出資財産等について定款に記載された価額が相当であることについて、弁護士、公認会計士、税理士等の証明(現物出資財産等不動産である場合には、当該証明及び不動産鑑定士の鑑定評価)を受けた場合
現物出資財産が仮想通貨で500万円以下であれば、検査役の調査は要しません。
しかし、本当に仮想通貨の価格が出資額に相当する価値があるかどうかは、設立時取締役の調査事項であるので、検討した上で現物出資するべきだと思われます。
まとめ
これからの時代「仮想通貨」で会社設立をする方が増えるかもしれません。
現状は「現物出資」による方法であれば会社設立が可能です。
時代の流れで仮想通貨に関する法律が整備されると扱いが変わる可能性もあるので、注目していこうと思います。
今回は
『会社設立 仮想通貨を会社の出資の目的とすることができるのか?』
に関する内容でした。
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