東京都江戸川区葛西駅前
会社設立などの企業法務・相続専門
司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一です。
目次
はじめに
前回、「仮想通貨」を現物出資して会社設立が出来るかという内容を紹介しました。
今回は仮想通貨について目的に盛り込むことができるかについて書きます。
その前に仮想通貨交換業の要件等について触れてから、目的として「仮想通貨」に関することを定款に掲げることができるのかを記載します。
会社設立 目的に「仮想通貨」に関することを盛り込めますか?
仮想通貨を運営するためには?
まず、仮想通貨について、法律でどのように決められているか?
まずは「仮想通貨業」の定義を見ていきましょう。
資金決済に関する法律(以下「法」という。)第2条第7項
この法律において「仮想通貨交換業」とは、次に掲げる行為のいずれかを業として行うことをいい、「仮想通貨の交換等」とは、第一号及び第二号に掲げる行為をいう。
一 仮想通貨の売買又は他の仮想通貨との交換
二 前号に掲げる行為の媒介、取次ぎ又は代理
三 その行う前二号に掲げる行為に関して、利用者の金銭又は仮想通貨の管理をすること。
そして「仮想通貨交換業」を行なうためには、内閣総理大臣の登録を受ける必要があります。(法第63条の2)
必要書類を準備し、金融庁長官あてに書類を提出することになります。
仮想通貨交換業の登録要件は?
仮想通貨交換業となるためには、下記の要件が必要です。資金決済に関する法律第63条の5や仮想通貨交換業者に関する内閣府令第9条に細かい要件が記載されています。
おおまかに書くと以下の要件です。
- 株式会社又は外国仮想通貨交換業者(国内に営業所を有する外国会社に限る。)であるもの
- 外国仮想通貨交換業者にあっては、国内における代表者(国内に住所を有するものに限る。)のある法人
- 資本金の額が1,000万円以上であること
- 純資産額が負の値でないこと
そもそも法人でないと、「仮想通貨交換業」は登録できないことに注意が必要です。
法人と言っても株式会社でないと登録できません。つまり合同会社では「仮想通貨交換業」になれません。
また、ある程度の資産がない場合も「仮想通貨交換業」は登録できません。
仮想通貨に関する内容を目的に書くことができるか?
「仮想通貨交換業」を登録して「仮想通貨の売買」をする予定があるのであれば、目的に記載すべきでしょう。
注意していただきたいのは、「仮想通貨交換業」ができる会社は株式会社に限られているので、合同会社が「仮想通貨の売買」を目的に掲げることはできません。
「対公衆性」「反復継続性」をもって仮想通貨の売買・交換等を行なう内容の業務は株式会社しか行えないからです。
「仮想通貨交換業」の資本金要件を現状満たさない場合でも「仮想通貨の売買」を株式会社の目的に掲げることは特段問題ありません。
ただ、資本金1,000万円なり、純資産が負の状態だと「仮想通貨交換業」の登録はできないので、時間がかかりそうならば、会社設立時には「仮想通貨の売買」を目的に掲げるのは登記簿の公示上の観点から避けるべきだと思います。
まとめ
「仮想通貨の売買」をするのであれば、金融庁に「仮想通貨交換業」の登録をする必要があります。
さらに「仮想通貨交換業」の登録ができるのは株式会社で資本金要件があるので、合同会社が「仮想通貨」に関する目的を掲げることはできないことに注意です。
今回は
『会社設立 目的に「仮想通貨」に関することを盛り込めますか?』
に関する内容でした。
参考書籍
Fintechのビジネス戦略と法務
渥美坂井法律事務所・外国法共同事業Fintechチーム,松田 克信,新倉 理人,髙橋 淳 きんざい 2017-05-10
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フィンテック (日経文庫)
柏木 亮二 日本経済新聞出版社 2016-08-06
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