登記事項要約書って何?法務局で取得できるものですが何に使うのか?
東京都江戸川区葛西駅前 ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 資格試験アドバイザー 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
目次
はじめに
あなたは、法務局で取得できる「登記事項要約書(要約書)」というのをご存知ですか?
自分が司法書士の補助者時代に、結構「要約書」取得しました。
以前、下記ブログを書いたときに、そういえば最近「要約書」を取得していないことを思い出しました。
「司法書士の世界 補助者経験から今までで業界的に何が変わっているか?」
今回は、昨今ほとんど私自身実務で取得しない「登記事項要約書」について書きます。
登記事項要約書って何?法務局で取得できるものですが何に使うのか?
「登記事項要約書」ってそもそも何?
「要約書」の存在自体、一般の方はあまり知らないでしょう。
「要約書」は正式名称は「登記事項要約書」といいます。
ここからは単に「要約書」と書いていきます。
要約書は不動産登記、商業登記両方あります。
登記事項証明書と同様、誰でも取得することができます。
そう考えると登記事項証明書と何も変わらないのではないかと思う方もいるでしょう。
しかし、後で触れますが、「登記事項証明書」と「要約書」はかなり性質の異なるものです。
現在はあまり「要約書」を取得する機会は実務上は少ないです。
私も最近はほとんど取得していません。
なぜでしょうか。
要約書はどの場面で使われるのか?
要約書はコンピューター化以前の閲覧制度に代わるものとして利用されます。
コンピューター化されるまでは、実際に登記簿(簿冊)を閲覧して、現状変化がないかを確認していました。
特に不動産の売買などの決済のときは、情報が違っていたら、決済できないため当日の閲覧はものすごく重要になります。
ただ、あくまでも簿冊は見るだけで、謄本を取得したいときは、登記簿謄本を取得するしかありません。
しかし、コンピューター化されると、簿冊のように登記簿そのものの閲覧ができなくなりました。
それに代わってできたのが「登記事項要約書」です。
なので、要約書は閲覧の代わりになるものだと理解してください。
インターネット登記情報提供サービスができる前までは、司法書士の補助者が朝一番で法務局に行って、要約書を取得していました。
それを確認して本職に電話を入れて、決済を行っていたという流れでした。
要約書が利用されなくなった理由は?
「要約書」は、現在効力のある事項で最低限必要な事項しか記載されていません。
要約書は閲覧に代わる制度のため、郵送やオンライン申請はできません。
さらに、法務局の認証文や作成年月日も記載されません。
インターネット登記情報提供サービスは登記事項証明書の内容とほぼ同一の内容を見ることができますが、要約書は必要な事項しか見ることができません。
さらに費用も1通450円となり、インターネット登記情報提供サービスを利用するより高くついてしまいます。
現在効力のある必要な事項しか見ることができないとなると、意外と実務では不便なことが多いのです。
なので、実務では要約書代わりにインターネット登記情報提供サービスを利用したほうが効率的で費用も安いのでほとんど利用しなくなりました。
私も独立開業してから要約書を取得する機会はめっきりなくなりました。
まぁ、登記申請前に念入りに物件を確認してから申請する場合には要約書を取得する実益はありますが。
まとめ
補助者時代に結構な頻度で取得していた「登記事項要約書」。
最近はインターネット登記情報提供サービスの普及でほとんど取得する機会がなくなりました。
時代の流れみたいなものを感じます。
今回は
『登記事項要約書って何?法務局で取得できるものですが何に使うのか?』
に関する内容でした。
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参考書籍
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