ある事項につき日付が到来していなくても登記申請できますか?
東京都江戸川区葛西駅前 ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
目次
はじめに
現在8月8日ですが、9月1日に本店移転をすることを株主総会と取締役会の決議で決めました。
8月9日に9月1日付のの本店移転登記を申請することができますか?
ある経営者からの質問です。
登記すべき事項の日付は決まっているが、登記申請日に到来していない場合、登記申請することはできるのでしょうか?
ある事項につき日付が到来していなくても登記申請できますか?
未だ期限の到来していない日で登記申請は可能か?
「はじめに」の会社の例で、9月1日本店移転の登記を8月9日に申請できるか?
結論は登記申請できません。
理由は、日付到来前だと、登記申請してから日付到来までの間に、変更することがあり得るからです。
登記事項は確定した事項を登記簿に載せることが建前です。
なので、日付未到来の事項を登記申請することは認められていません。
役員の辞任日を特定した辞任届が辞任日以前に到来していても、辞任日をもって事前に登記申請することも当然できません。
8月30日付けで辞任する旨の辞任届が8月23日に会社に到達した場合、登記申請ができるのは8月30日以降で、8月30日より前に登記申請しても受理されません。
あらかじめある事項につき期限を定めておくことはできるか?
例えば、9月1日に本店移転する株主総会の定款変更決議と取締役会で本店移転の具体的場所を決議し9月1日付で移転する決議を8月9日に行うことはできるのか?
答えはすることができます。
変更する日をあらかじめ定めておく決議をすることは問題ありません。
登記申請できるのは、期限到来してからとなりますので、上記の本店移転の登記申請は9月1日以降にすることができます。
なお、登記事項に変更が生じた場合は、変更してから2週間以内にしなければなりませんので注意してください。
ひとつ、論点となる事項をあげます。
期限付き解散決議を株主総会で行った場合は問題になります。
例えば8月1日の株主総会で9月30日で解散する旨の決議をして、その株主総会議事録を添付して9月30日解散の登記申請ができるかという問題です。
期限付き解散については、どうも株主総会の日から解散の日まで2週間しか間をおけない法務局の扱いになっています。
あらかじめ解散日を決める場合は、「存続期間の定め」の定款変更決議をしなければならないという扱いになります。
存続期間の定めの登記は定款の変更と同じ扱いとなり、登録免許税が別途3万円かかります。
正直意味ないし、法務局はわざわざ解散するのになぜ存続期間の定めの登記をさせるのか意味が分かりません。
税金を取りたいだけなのでしょうか?
まとめ
期限到来前の日をもって登記申請をすることはできません。
事前に登記申請の日付を定めることは可能で、期限が到来したら登記申請できることを確認してください。
今回は
『ある事項につき日付が到来していなくても登記申請できますか?[小さな会社の企業法務]』
に関する内容でした。
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