株券発行会社かどうか?もう一度あなたの会社の履歴事項全部証明書を確認しましょう!
東京都江戸川区葛西駅前 ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
目次
はじめに
平成18年に会社法が改正されて13年が過ぎました。
だいぶ会社法の実務が浸透している中で、未だに実体とあっていないものがあります。
その一つに、平成18年5月1日以前に設立した株式会社の株券発行の定めについて。
もし上記会社に該当する経営者のあなたはもう一度履歴事項全部証明書を取得して御覧ください。
株券発行会社かどうか?もう一度あなたの会社の履歴事項全部証明書を確認しましょう!
株券発行の定め 原則と例外が会社法改正で変わった!
株券発行についての歴史を振り返ってみます。
平成16年の商法改正前までは、株券を発行することが原則でした。
ただ、中小零細企業では株券を発行する会社は実際に多くありませんでした。
株券発行のコストが高く付くのが理由の一つです。
そこで、商法改正で、株券発行を原則としつつも、株券を発行しない旨を定款で定めれば、株券を発行しなくてよくなり、それが登記事項となりました。
平成18年5月の会社法では、原則と例外が入れ替わり、原則が株券不発行で、株券を発行する場合は定款にその旨を定めるとともに、登記事項となりました。
平成18年5月以前の株式会社で株券不発行会社で登記事項として株券不発行の旨があった場合は、平成18年5月の会社法改正で職権抹消されました。
一方、平成18年5月以前に株券発行会社の場合は、会社法改正後、登記簿に株券発行の旨が職権で記載されるようになりました。
株券発行の旨が職権登記されていたら見直しを!
中小零細企業の場合の多くは会社法改正前から基本は株券を発行していません。
株主から株券を発行してほしいことを請求されない限り、株券発行会社は株券発行をしなくていいという規定があります。
また、実際に株券を株主から回収して株券不所持制度を採用している会社もあります。
ただ、株券発行会社の場合、実際に株券を交付しなければ効力が生じないなど不都合が生じます。
株券発行していなければ、株主名簿の名義書換だけで株券の譲渡の効力が生じます。
実際に株券を発行していない会社の経営者のあなた。
今後株券発行の予定がなく、登記事項に株券発行の旨が記載されている場合は、株券発行の定めの廃止を検討してください。
実体と登記簿の記載が不一致なのはコンプライアンスの観点から問題です。
まとめ
平成18年5月以前に株式会社を設立している経営者の皆様はまずは履歴事項全部証明書を取得してください。
もし「株券発行の旨」が登記されている場合、実際に株券を発行していないときは、その旨の登記を抹消することをおすすめします。
今回は
『株券発行会社かどうか?もう一度あなたの会社の履歴事項全部証明書を確認しましょう![小さな会社の企業法務]』
に関する内容でした。
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