専務取締役や常務取締役、代表取締役会長は登記事項なのか?
東京都江戸川区葛西駅前 ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
目次
はじめに
私の会社では、専務取締役とか常務取締役とかいます。「専務」とか「常務」とかは登記できますか?
また「代表取締役会長」とか「代表取締役社長」とかの登記はできますか?
いわゆる「役付取締役」というものですね。
こちらは登記することはできません。あくまで「取締役」としてのみ登記されます。
株式会社の取締役と代表取締役が登記事項であることは多くの方がご存知でしょう。
取締役の中でも、常務取締役や専務取締役、代表取締役会長を選んでいる会社も中にはあります。
そのような役付取締役が登記できない理由はなぜなのでしょうか。
専務取締役や常務取締役、代表取締役会長は登記事項なのか?
役付取締役はなにか?選任する機関は?
役付取締役とは、常務取締役や専務取締役など肩書きのある取締役をいいます。
役付取締役の権限については、会社法では定めがなく、会社の規則(取締役会規程など)に盛り込むことが多いです。
中には定款に「役付取締役」の条項を設けている会社もあります。
取締役会設置会社で多くの企業では、役付取締役の選定は取締役会で決めます。
また代表取締役が複数いる場合、社長や会長を選定するのも取締役会で決めることがほとんどです。
一方非取締役会設置会社の場合、代表取締役を株主総会もしくは取締役の互選で定めます。
非取締役会設置会社の場合、役付取締役を置くかは会社の規模次第ですが、選定方法は代表取締役の選定方法と同じにすべきです。
役付取締役は登記事項なのか?会長や社長はどうか?
取締役や代表取締役は登記事項ですが、専務とか常務とかの肩書は登記事項とされていません。
登記事項として決まっているのは「取締役」は氏名、「代表取締役」は住所・氏名になっているからです。
あくまで、取締役として株主総会で選ばれているのであれば、登記する義務が発生します。
また、会長や社長の肩書も登記事項とされていないので、代表取締役が2名いれば、2名とも代表取締役として住所・氏名が登記されます。
なので、一般の方が履歴事項全部証明書を取得しても、その方の取締役や代表取締役としての役割は知ることができないのです。
知る方法としては、その会社のホームページや会社概要などの冊子しかありません。
役付取締役 定款ではどのように規定されているのか?
定款の記載例では、以下のように規定されていることが多いです。
(代表取締役及び役付取締役の選定)
(日本加除出版「会社法定款事例集」より)
第◯条 代表取締役は、取締役会の決議で定める。
2 取締役会の決議により、代表取締役の中から取締役社長1名を選定し、取締役の中から取締役副社長、専務取締役及び常務取締役を選定することができる。
3 取締役社長は、当会社の業務を執行する。
4 取締役会の決議により、代表取締役以外の者の中から業務執行取締役を選定することができる。
定款や取締役会規程で役付取締役に関する定め方はいろいろあります。
会社によっては、相談役や顧問を定款で定めているところもあります。
これは会社の規模に応じて規定すればいいでしょう。
事業承継で一線を退いた先代社長を会長にしたい場合や相談役にしたい場合などに定款で規定を設けることが多いです。
まとめ
役付取締役や社長・会長などは取締役会(取締役会設置会社の場合)で選定されることが多いことと、役付取締役は登記事項でないことを覚えておいてください。
今回は
『専務取締役や常務取締役、代表取締役会長は登記事項なのか?[小さな会社の企業法務]』
に関する内容でした。
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