デジタル通帳の盲点 相続開始のときに銀行口座が見つからないを解消するために
東京都江戸川区葛西駅前 ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 資格試験アドバイザー 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
目次
はじめに
最新相続の問題として「デジタル遺産」があります。
その中の一つに「デジタル通帳」の問題があります。
数年前、三菱UFJ銀行が新規口座開設分から紙の通帳を廃止するとのことで話題に。
三井住友銀行でも同様のことをしているようで、今後金融機関で紙の通帳をなくす動きが加速化することが予想されます。
すでにインターネットバンキングでは、紙の通帳すら存在していないものも。
相続開始時の財産を把握するために、自分の持っている銀行口座を相続人にどう伝えるか、ますます重要になってきます。
デジタル通帳の盲点 相続開始のときに銀行口座が見つからないを解消するために
紙の通帳とデジタル通帳を使い分ける
今の世の中、現金決済ではなく、インターネット上で決済が終わることが多くなっています。
なので、紙の通帳には、普段使わない財産を、デジタル通帳では通常の生活であまりお金を入れておかないなどの工夫も必要でしょう。
相続人に口座番号と暗証番号を伝えるには?
とはいっても、今後デジタル通帳が世の中の主流となると、紙の通帳ではない口座をどのように相続人に伝えるのか、非常に大事になります。
方法として手っ取り早いのはエンディングノートに口座名とパスワードを記載しておくこと。
ただ、エンディングノートを相続開始前に発見されたとき、不正に金銭の出金がされるリスクがあります。
そうなると、一番いいのが金融機関名とパスワードを遺言で残すという方法です。
遺言は、自筆証書遺言と公正証書遺言があります。(秘密証書遺言はありますが、実務ではあまり使われません。)
公正証書遺言は遺言を紛失するリスクが少なくおすすめです。
しかし、公正証書遺言だと、証人2人の立会が必要で、証人が相続人に情報を提供するリスクも潜んでいます。
そこで、自筆証書遺言の保管制度を活用するのも一つの方法です。
2020年7月から自筆証書遺言を法務局で保管する制度が導入されました。
なので、こちらを使って金融機関名とパスワードを書いておくという方法もあるでしょう。
私見ですが、公正証書遺言と自筆証書遺言を併用することをおすすめします。
重要な財産については公正証書遺言に、銀行口座のパスワードとかは自筆証書遺言の保管制度を使うなどの方法もあります。
ただし公正証書遺言と自筆証書遺言を両方採用する場合に注意しないといけないことがあります。
同一内容の遺言を書いてしまうと、あとの遺言で前に記載した遺言を取り消してしまうということがあります。
自筆証書遺言と公正証書遺言を両方利用する場合は、遺言内容が抵触しないような工夫が必要です。
まとめ
デジタル通帳の普及で遺言のあり方を見直す必要が出ると私は感じています。
デジタル通帳をお持ちの方は、どのように相続人に伝えるかは考えておくことがデジタル社会においてますます重要です。
今回は
『デジタル通帳の盲点 相続の新たな問題の引き金に?相続開始のときに銀行口座が見つからないを解消するために』
に関する内容でした。
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