相続~遺産分割のとき認知症の相続人がいたら・・・(その2)江戸川区葛西司法書士・行政書士が解説します
東京都江戸川区葛西駅前 ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 資格試験アドバイザー 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
目次
はじめに
前回のブログで
『相続~遺産分割のとき認知症の相続人がいたら・・・(その1)』
を書きました。
(「あわせて読みたい」からぜひ御覧ください)
今回は前回の続きになります。
もし、認知症の人に後見人を選任した場合のデメリットを書きます。
後見人が選任されてしまうと、現行の制度だと注意しないといけないことがあります。
意外とと知らない方もいるので、相続対策で知っておくことが何より重要です。
相続~遺産分割のとき認知症の相続人がいたら・・・(その2)
デメリットその1 後見人が選ばれたらよほどのことがない限りずっと後見人のまま
遺産分割協議で後見人が被後見人に代わって遺産分割協議をして、手続も完了した。
これで後見人としての全ての任務が終了・・・と思ったあなた。
実は、後見人になったら、特別なことがない限り、後見人の業務を続けないといけません。
つまり、遺産分割協議の業務が終わっても、被後見人の財産管理や施設の支払いなどを続ける必要があります。
毎年、家庭裁判所に被後見人の財産状況などを報告する必要があるので、結構な負担です。
デメリットその2 後見人に第三者がいたり、後見監督人が選任されると毎年一定額の負担が生じる
財産の多寡によっては、後見人が親族でなく、弁護士や司法書士、社会福祉士などの職業専門職が就くことがあります。
さらには、後見人に親族がなったとしてもさらに後ろ盾として職業専門職が後見監督人として就くこともあります。
職業専門職が就くと、毎年、被後見人の財産から家庭裁判所で定めた報酬額を支払う必要があります。
これを知らないと、なぜ、この人達に払う必要があるのかと違和感を覚えるでしょう。
意外と第三者に対する方に後見費用の支払いをすることでトラブルになることもあります。
デメリットその3 場合によっては居住用不動産を売却できないことも・・・
よく、居住している不動産を売却して、そのお金で施設に入る資金を・・・
そう考えている方もいるでしょう。
しかし、後見人がついている場合、居住用の不動産を売却するのは至難の業ですし、面倒です。
まずは家庭裁判所の許可が必要です。
これは被後見人の財産を減らさないための措置だと考えてください。
家庭裁判所の許可はよほどのことがない限り許可は出ないようです。
そうなると、不動産が売却できない、下手すると「空き家」状態になる危険があります。
個人的提言 一時後見人制度の導入
後見人制度が始まって以来、被後見人の財産を減らさないという趣旨が強かったように思います。
しかし、制度ができてから相当期間があり、成年後見制度そのものの利用も少ないため、現在、利用促進策を考えているようです。
これは議論になっているようですが、一時後見人制度というのもありかと思います。
実際、意思表示が曖昧でも、必要な法律行為が生じたときに後見人制度を活用するとかもっと制度を柔軟に運用していかないと利用者は増えないような気がします。
今後、利用者の目線に立った成年後見制度を考える必要があるでしょう。
まとめ
相続人に認知症の方が出ると、手続が面倒なことになる可能性があります。
さらに後見人が選任されることで財産の処分も難しくなります。
相続のとき、そのことを知っておくだけでも何かしらの対策が可能です。
遺言書も作ることも大事ですが、相続で問題になりそうなことをあらかじめ予想しておくこともこれからの時代は
重要です。
今回は
『相続~遺産分割のとき認知症の相続人がいたら・・・(その2)』
に関する内容でした。
あわせて読みたい
遺産分割協議で相続人に認知症の方がいた場合の対応その1についてはこちらを御覧ください。