ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
目次
はじめに
法務局に相続人に関する一覧図と戸籍謄本等を提出し保管する「法定相続情報証明制度」
法定相続情報証明制度ができて1年近くが経ちますが、この度利用制度が拡大されることになりました。
法定相続情報証明制度はどうすれば手に入るのか?
例えばあなたの親が亡くなったとします。
相続登記で戸籍謄本を集めますが、親の出生から死亡までの戸籍謄本を金融機関ごとに何通も取得するのは費用と時間がかかり面倒。
そこで、相続登記と同時に一覧図を提出すれば、相続登記が終わったのと同時に「法定相続情報一覧図」を手に入れることができます。
「法定相続情報一覧図」があれば、金融機関に分厚い束の戸籍謄本などを提出する代わりに、「法定相続情報一覧図」一枚の紙を提出することで、相続人の特定をすることが可能になります。
一度「法定相続情報一覧図」の保管の申し出をすれば、一定期間であれば、さらに必要通数の「法定相続情報一覧図」を取得できます。
なお、相続登記が絡むことがなくても、金融機関に提出するために「法定相続情報一覧図」の申出をすることもできます。
「法定相続情報一覧図」は相続税の申告書には使えない?
「法定相続情報一覧図」は金融機関の他にどこか使えるところがあるのでしょうか?
- 「法定相続情報一覧図」は相続税の申告には使えるのか?
- 「法定相続情報一覧図」は裁判のときに使えるのか?
この疑問についてお答えします。
「法定相続情報一覧図」は相続税の申告には使えるのか?
平成30年3月までは、相続税の申告のために、「法定相続情報一覧図」は使えませんでした。
しかし、今回法定相続情報証明制度の利用範囲の拡大に伴い、「法定相続情報一覧図」をそ利用することができるようになりました。
それに伴い、被相続人の続柄を記載することになりました。
続柄について、相続人が被相続人の子や配偶者である場合、原則戸籍に記載される続柄が記載されます。
具体的には、被相続人の配偶者であれば「夫」や「妻」、子であれば「長男」「長女」「養子」などと記載します。
ただ、続柄の記載はあくまで被相続人との続柄である必要があるから、戸籍に記載される続柄では表記することが出来ない場合もあります。
例えば、被相続人の兄弟姉妹が相続人である場合は「姉」や「弟」とし、代襲相続がある場合であって、被相続人の孫が代襲相続人となる場合は「孫」と記載します。
しかし、申出人から、続柄について、子であれば「子」、配偶者であれば「配偶者」と記載したいという申し出があれば、それに従います。
ただ、その場合は、相続税の申告書を添付書面として「法定相続情報一覧図」が使えない可能性がありますので注意してください。
「法定相続情報一覧図」は裁判のときに使えるのか?
これについては、相続放棄の手続の際に「法定相続情報一覧図」が使えたとか、裁判の提起の際に「法定相続情報一覧図」は使えないとか扱いが様々です。
裁判所の手続で「法定相続情報一覧図」が提出できるかについては情報が集まったら書きます。
その他法定相続情報証明制度の利用拡大について
相続税の申告で法定相続情報一覧図が使えるようになった他に、以下のことも変わります。
- 被相続人の最後の本籍の記載
- 相続登記等における相続人の住所を証する情報の記載
以下、説明していきます。
被相続人の最後の本籍の記載
法定相続情報一覧図には、被相続人の最後の住所を記載することになっています。
さらに、申出人の選択により、被相続人の最後の本籍も記載することができるようになりました。
相続登記等における相続人の住所を証する情報の記載
相続登記を申請する際、原則被相続人や相続人を特定するため戸籍謄本や除籍謄本を添付します。
戸籍謄本や除籍謄本を添付する代わりに「法定相続情報一覧図の写し」を添付することもできます。
その時、一覧図の写しに相続人の住所が記載されている場合は、相続人の住所を証する住民票の写しの添付がいらなくなりました。
まとめ
平成30年4月1日から「法定相続情報制度」が一部変わります。
相続税の申告のために法定相続情報一覧図の写しを添付できるようになったのは便利ですね。
今後は続柄を記載した法定相続情報一覧図の写しが増えそうです。
今回は
『法定相続情報証明制度 相続税の申告でも一覧図の写しが使えるようになる?』
に関する内容でした。
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法定相続情報証明制度に関することは別記事でも紹介しています。
法定相続情報証明制度に関する書籍はこちら
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相続手続が簡単に 法定相続情報証明制度の利用の仕方 碓井 孝介 日本加除出版 2017-07-05
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