東京都江戸川区葛西駅前
会社設立などの企業法務・相続専門
司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一です。
目次
はじめに
今回は司法書士業務のうちの一つ、裁判事務関係業務を書きます。
私が事務所を開業して10年以上経過しています。
最近は不動産登記業務や商業登記業務も増えています。
以前は債務整理案件が多く占めていた時期がありました。
しばらくは債務整理事件はそんなになかったですが、昨年あたりからまた債務整理事件が増えてきている気がします。
最近の債務整理事件の傾向 私の事務所の場合は?
出資法の改正で過払金請求事件は減少
平成22年6月に出資法が改正されました。
改正前まで、出資法の上限金利が29.2%、利息制限法の上限が金額に応じて15~20%でした。
利息制限法と出資法の間がいわゆるグレーゾーンと言われ、その部分の利息を払っていた場合、業者から取り戻すことができました。
これが「過払金返還請求事件」の始まりです。
しかし、出資法が改正され、出資法の上限が20%となり、過払金が発生しない状態となりました。
私の事務所も場所柄過払金返還請求案件をかなり受けていました。
というか私の周りの事務所で債務整理事件案件をしていたのが少なかったのですが・・・
しかし、ここ最近はテレビやラジオCMのためか、過払金事件は大手事務所が引き受ける傾向になり、私の事務所では過払金返還請求事件がほぼなくなりました。
ただ、過払金返還請求事件に代わり、最近増えている債務整理案件があります。
近年の債務整理の相談案件が増加
ここ最近増えているのが、銀行カードローンを利用しすぎて、返済が厳しくなっている方からの相談。
銀行カードローンは手軽に申し込みができ、すぐにお金を借りることが可能。
消費者金融はお金を借りる要件が厳しくなっているのに、銀行カードローンはそんなに審査が厳しくないようです。
あとは以前の債務整理同様、ついつい借りすぎてしまい、返済が滞り始めたという方が急増しています。
なので、借りている業者は以前は5社とか結構ありましたが、今は2社とか3社とか少ないです。
さらに、借り始めたのが、1年前とか2年前とかで意外と取引期間が少ない方が多いです。
当事務所の債務整理事件の対応として・・
まず、司法書士の簡裁代理権の範囲が140万円までなので、1社で140万円を超えてしまうと、司法書士が対応することが困難です。
業者によっては、140万円を超えたら、司法書士は一切対応しないという業者も出てきています。
1社が140万円以内であれば、合計金額が140万円を超えても司法書士は依頼を受けることは可能です。
最近の依頼者の借金の合計金額は200万円以下が多く、100万円台やそれ以下でも相談する方が多いです。
個人的な意見ですが、1ヶ月3万円~5万円の支払いができれば任意整理の方針で良いと思います。
それが苦しいのであれば、自己破産や民事再生を視野に入れないといけないでしょう。
無理して借金を支払っても生活が余計に苦しくなったら意味がないこと。
もう一度再出発する勇気を持つことも大事ではないかと思います。
時効消滅しているはずの債権の取り立ての相談
以前も書きましたが、最後の取引から5年を経過している借金について、最近債権回収会社から取り立ての連絡があったとの相談を受けたことがあります。
さらに、裁判所から支払督促や訴状が届いたとの連絡も聞いています。
(私はそのような相談はまだないですが)
無視してしまうと、借金を背負わないといけなくなるなど問題も出てきます。
早めに司法書士や弁護士に相談してください。
まとめ
最近は、取引期間の短い借金の問題の相談が増えています。
気軽に借りられる銀行カードローンの影響が大きい気がします。
以前は余裕をもってお金をかりるように大々的にいわれていましたが、今はそこまで言われないため、借りてしまい返済が追いつかない人も増えている気が。
いずれにしても、借金でお困りの方は、早めに専門家に相談することをオススメします。
今回は
『最近の債務整理事件の傾向 取引期間の短い方の借金の相談が増えています』
に関する内容でした。
関連書籍はこちらから
債務整理事件処理の手引―生活再建支援に向けて
日本司法書士会連合会 民事法研究会 2017-10-01
|