東京都江戸川区葛西駅前 ひとり会社設立専門 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
目次
はじめに
会社設立にあたり、本店はどこに定めても構いません。
最近はスモールビジネスや副業で、自宅を本店所在地にしたくないから、コワーキングスペースやバーチャルオフィスを本店所在地にしたいという質問が来ています。
果たして上記場所を本店所在地にすることができるのでしょうか?
会社設立 本店をバーチャルオフィスやコワーキングスペースにしていいか?
会社の本店所在地を今流行のバーチャルオフィスにしようと思っています。
別に本店所在地にしても大丈夫というのをネットで見たのですが・・・
もしだめだったらコワーキングスペースを本店所在地にしてもいいかと・・・
最近、新型コロナウイルスの影響で本店をどうするか、本店所在地についてこのような質問を多く受けます。
以下、私見を交え、詳しく書いていきます。
コワーキングスペースやバーチャルオフィス 立地条件にはいいが・・・
実は私も会社設立のオプションでバーチャルオフィスの使用料金を格安にするという広告をみました。
自分の会社が名だたる企業と同じ地域にあると、イメージアップに繋がる、そのような考えでで、バーチャルオフィスやコワーキングスペースを利用する起業家が多いようです。
しかし、会社設立後、当該場所に本店にしてトラブルに発展したケースも散見されます。
バーチャルオフィスやコワーキングスペースでトラブルになるケースとは?
経営実態を伴わない場所を会社本店にしてしまうと、会社経営ができなくなってしまうリスクがあります。
なぜ会社経営で影響がでてしまうのか?いくつか書きます。
その1 会社名義での銀行口座が作れない
最近、新しい銀行口座をつくるのは、結構要件が厳しくなっています。
実態が伴わないと、本当にこの会社は事業をしているのか、金融機関から疑われるからです。
金融機関の中には、口座開設にあたり、実際に会社の本店を訪問するケースがあります。
あと、会社開設後資金の融資を受けたい場合、経営実態を伴う事務所がないと、創業融資を受けることも難しいでしょう。
なので、バーチャルオフィス等を本店所在地にすると金融機関の口座ができなくなる可能性があります。
その2 許認可が取得できないことも・・・
例えば、インターネットで物品の売買をしたい場合、古物商の許可を本店所在地の最寄りの警察署に提出します。
古物商の許可を申請する場合、事務所が実在していることが要件となります。
借りている場合であれば賃貸借契約書が必要になります。
バーチャルオフィスだとそこには事務所が実在していないため、古物商許可申請の要件に当てはまらないことがあります。
古物商許可申請の他にも、様々な許認可でバーチャルオフィスを本店にすると、申請が通らないこともありえ、営業自体できなくなることもありえます。
その3 税務上では何か問題があるか?
法人税はとりわけ問題ないようですが、地方税の場合には注意が必要です。
地方税の納税地は本店・支店・事業所などの事務所の所在地です
注意しなければならないのは、法人住民税の均等割は事務所ごとに課税されるので、事務所が増えれば事務所の数だけ課税されてしまいます。
なので、バーチャルオフィスを本店とした場合、事務所が2箇所と認定されるリスクがあります。
一応課税当局と事前協議をした上で調整したほうがいいです。
ただ、上記2つのデメリットがある以上、バーチャルオフィスやコワーキングスペースを本店にするにはリスクがありすぎます。
まとめ
企業のイメージアップを重視するあまり、本店をバーチャルオフィス等にしてしまうとあまりにもリスクが大きいです。
どうしても自宅が嫌だと言うのであればバーチャルオフィス等を使わざるを得ないでしょうが、リスクを承知してからやらないと、会社の経営が成り立たなくなります。
会社設立の際にきちんと押さえておきましょう。
今回は
『会社設立 本店をバーチャルオフィスやコワーキングスペースにしていいか?』
に関する内容でした。
参考書籍
税務部分については下記の本を参考にしました。
司法書士&行政書士に読んでほしい 会社設立時の税務の話 | ||||
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