抵当権と根抵当権の債務者の住所変更登記何か違いはあるのか?
東京都江戸川区葛西駅前 ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
目次
はじめに
「司法書士業務日記」シリーズ、不動産登記編。
今回は不動産登記業務に関するマニアックな論点を紹介します。
なので、司法書士実務に関わる方や司法書士試験受験者には役に立ちます。
テーマは「抵当権と根抵当権の債務者が住所を移転した場合の登記申請手続」について。
抵当権と根抵当権の債務者に住所変更があった場合、抵当権と根抵当権で登記の申請形態や添付書面で何か違いは出るのでしょうか?
抵当権と根抵当権の債務者の住所変更登記、違いはあるのか?
登記申請書に記載する登記の目的と登記原因に違いはあるのか?
抵当権・根抵当権の債務者の住所移転の登記申請書に記載する登記の目的は、
「何番(根)抵当権変更」
の振り合いで書きます。
もし、不動産が複数あって、順位番号が異なる場合は
「(根)抵当権変更」
の振り合いで記載し、登記原因の次に
「変更する(根)抵当権
平成◯年◯月◯日受付第◯◯号」
と(根)抵当権設定した時の受付日、受付番号を記載します。
登記原因は、債務者が住所移転した日を記載します。
「平成(令和)◯年◯月◯日住所移転」
の振り合いになります。
しかし、某法務局で、根抵当権の債務者の住所移転につき、登記原因は「平成◯年◯月◯日変更」になるのではないかといわれたようです。
確定前の根抵当権の変更は、全て登記原因が「変更」だからそれに合わせてほしいからでしょうか?
変更後の事項の記載に注意!抵当権と根抵当権で記載方法が異なる?
今回のポイントはここ!
抵当権と根抵当権の債務者の住所変更の登記に記載する「変更後の事項」は、抵当権、根抵当権で異なること。
抵当権の場合は、
変更後の事項
住所 東京都江戸川区葛西一丁目1番1号
となり、住所だけを記載します。
しかし、根抵当権の場合は
変更後の事項
債務者
東京都江戸川区葛西一丁目1番1号
甲
と債務者の住所・氏名を全てを記載します。
根抵当権は、「根抵当権の枠」が命なので、債務者の表示が変更になると、全て記載し直す必要があります。
抵当権と根抵当権の債務者の住所変更 添付書類も異なる!
債務者の住所変更登記は、債務者が単独で登記することはできません。
(根)抵当権者と所有者(設定者)の共同申請で行います。
物上保証、つまり債務者と設定者が異なる場合、債務者は登記申請に一切関わりません。
添付書面ですが、
- 登記原因証明情報
- 登記識別情報通知
- 代理人による場合は委任状
までは抵当権、根抵当権とも共通です。
問題は、印鑑証明書。
抵当権の場合は、設定者の印鑑証明書の添付は不要ですが、根抵当権の場合は印鑑証明書の添付が必要なので注意です。
ちなみに、登記原因証明情報は、住民票で問題なく、変更前の住所と変更後の住所がつながるものが必要です。
ただし、住民票を添付する際はマイナンバーが載っていない住民票を添付する必要があるので注意してください。
まとめ
抵当権と根抵当権の債務者の住所変更登記の違いについて書きました。
抵当権と根抵当権だと、添付書面が異なること、変更後の事項の記載内容が異なることに注意してください。
今回は一般の方には馴染みのない話になってしまいすいません。
今回は
『抵当権と根抵当権の債務者の住所変更登記何か違いはあるのか?[司法書士のおしごと日記]』
に関する内容でした。
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