目次
はじめに
皆さん、こんにちは。桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
東京都江戸川区で司法書士・行政書士として活動しており、特に相続や商業登記を専門としています。
今回の記事では、相続税計算の基礎である「課税価格」について、わかりやすく解説していきます。
相続税の申告は複雑ですが、この記事を通じて基本をしっかり理解しましょう。
なお、専門的な内容、節税対策など細かい計算については税理士に相談してください。
相続税算出のための「課税価格」を計算
相続税算出のため、「各人の課税価格」を計算します。
計算式
(「本来の相続財産」+「みなし相続財産」+「相続時精算課税制度による贈与財産」+「生前贈与加算」)-「非課税財産」-「債務・葬式費用」
が計算式となります。
まずは加算される財産についてみていきましょう。
加算される財産について
プラスにするものを順に追って解説していきます。
本来の相続財産とは?
本来の相続財産とは、故人が生前に所有していた財産のことを指します。
これには預貯金、株式、不動産、ゴルフ会員権、債権などが含まれます。
会社の事業承継とかやっていると、社長が会社に貸付金の債権を有していることがあります。
これも相続財産になるので注意です。
みなし相続財産とは?
みなし相続財産とは、故人の死によって相続人が受け取ることになる財産のことです。
例えば、故人が加入していた「生命保険金」や「死亡退職金」がこれに該当します。
「生命保険金」は被相続人が保険料を負担していた保険契約で、被相続人の死亡によって支払われる保険金をいいます。
「死亡退職金」は、被相続人の死亡によって支給される退職金で、被相続人の死後3年以内に支給が確定したものをいいます。
相続時精算課税制度とは
相続時精算課税制度は、生前に、直系尊属(親・祖父母)(被相続人)から子・孫に贈与するときの贈与税を軽減し、その代わりに、贈与された財産を相続のときに相続財産に加算する制度です。
相続時精算課税制度を適用した財産は相続財産として加算しますが、この時相続財産として加算される価格は贈与時の価格(2024年1月1日以後の贈与については、110万円を控除した残額)となります。
生前贈与加算について
2024年1月1日以降の贈与からは、生前贈与加算の対象期間が段階的に3年から7年に拡大されます。
なお、相続開始前から4年から7年のものについては100万円を控除した残額が対象となります。
このときの、相続財産に加算される価格は贈与時の価格となります。
控除することができるものは?
相続財産から控除できるものについて解説していきます。
非課税財産について
非課税となる財産については、相続税の課税対象となりません。
- 墓地、墓石、祭具、仏壇、仏具など
- 生命保険金のうち一定額
- 死亡退職金のうち一定額
生命保険金、死亡退職金のうち非課税額について
非課税限度額
非課税限度額=500万円×法定相続人の数
各人の非課税金額は、上記の非課税限度額を次の計算式で按分した金額となります。
各人の非課税金額=非課税限度額×その相続人が受け取った死亡保険金等/全相続人が受け取った死亡保険金等
なお、相続を放棄した人は相続人でないため、相続を放棄した人が受け取った保険金等については、非課税金額の適用はありません。
弔慰金のうち非課税額
業務上の死亡と業務外での死亡で弔慰金の非課税限度額が変わってきます。
業務上の死亡について
非課税限度額=死亡時の普通給与×36ヶ月分
業務外の死亡
非課税限度額=死亡時の普通給与×6ヶ月分
債務・葬式費用
債務・葬式費用で課税価格から控除できるものとできないものがあります。
控除できるもの | 控除できないもの | |
債務 | ・借入金 ・未払の医療費 ・未払の税金(準確定申告で算出された所得税も控除可) |
・(生前に購入した)墓地等の未払金 ・遺言執行費用 |
葬式費用 | ・通夜、告別式、火葬、納骨費用 ・死体検索費用 |
・光電返戻費用 ・法要費用(初七日等) |
まとめ
相続税の計算は複雑に感じるかもしれません。
しかし、ひとつひとつの要素をしっかり理解することで、より明確な計画が立てられます。
不明な点があれば、税理士に相談するのも一つの方法です。
この記事が皆さんの相続計画に少しでも役立つことを願っています。
相続に関するお悩みがあれば、お気軽に当事務所までお問い合わせください。詳細は以下のウェブサイトをご覧ください。
今回は
『相続税の計算における第一歩:「課税価格」の理解』
に関する内容でした。
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