東京都江戸川区 ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 資格試験アドバイザー 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
目次
はじめに
最近、一般社団法人全国銀行協会で「完済したら抵当権の登記抹消をお早めに!」というページを見ました。
意外と住宅ローンを完済したら安心という方もいるでしょうが、実はもう一つやらないといけないことがあります。それが「抵当権抹消登記」です。
銀行から抵当権の抹消登記の書類をもらいました。確か早めに対応してくださいと言われていましたが、申請期間とかあるのでしょうか?
今回は抵当権抹消登記について、司法書士の立場で書いていきます。
住宅ローンを完済しても抵当権の抹消は自分で行う
不動産(自宅)を購入したときに、銀行で住宅ローンを組んだ方も多いでしょう。
不動産購入に際して、住宅ローン借り入れのために抵当権の設定もするのがほとんどです。
無事に住宅ローンを完済したとしても、あなたの不動産に設定されている抵当権は自動的に抹消されるわけではありません。
なので、抵当権の抹消登記手続きは自分で行う必要があります。
法務局で「抵当権抹消」の登記申請を行う必要があり、これは自分でする必要があります。
金融機関にとっては抹消に関する書類を渡してしまったらあとは正直どうでもいいのです。
多くは銀行から書類が届き、自分で対応することが多いので、意外と放置されがちになります。
「後でやろう」と思ってずっと放置となることも多いです。
抵当権抹消登記の申請期限はあるのか?
では、銀行から抵当権抹消登記の書類をもらったら、申請期限はあるのでしょうか?
銀行から抵当権抹消の書類をもらっても登記申請をいつまでに行わないといけないという法律はないので、ずっと放置もできます。
しかし、司法書士の立場からして、書類を受領したら速やかに抵当権抹消登記を法務局に申請すべきです。
ずっとそのままにしてしまうと、書類を紛失してしまうというリスクがあるからです。
紛失してしまうと、金融機関から書類再発行の手続きをせざるを得なかったり、思った以上に時間がかかってしまいます。
また、いざ不動産を売却したいと思った時、抵当権が残ったままだと、売却はできません。
既に完済しているのに抵当権抹消登記を放置してしまうと、面倒な問題が起きてしまいます。
銀行から送られた書類の中には、再発行できない書類も含まれています。
それを紛失してしまうと、銀行の方で再度内部手続をすることになり、面倒なことになってしまいます。
特に登記識別情報通知(抵当権設定契約書に登記済印を押してあるものを含む)を無くすと、銀行で実印押印した上で印鑑証明書を出さないと登記手続きが進まないということもあります。
なので、抵当権抹消の書類がもらったら速やかに抵当権抹消登記の手続きをしましょう。
抵当権抹消登記に必要となる書類は?
自分で抵当権抹消登記を申請する場合は、自分で申請書を作成して申請する必要があります。
法務局のホームページに申請書の雛形があるので、自分で作成して申請する必要があります。
申請書とともに、以下の添付書面が必要となります。
ほとんどが金融機関から返却される書類です。
まずは登記識別情報もしくは登記済証です。
平成20年前後に登記済証から登記識別情報に変わっています。
申請したときによって「登記識別情報」か「登記済証」になります。
登記済証の場合は、抵当権設定契約書に「登記済」の押印がされていることを確認してください。
登記識別情報の場合は、シールを剥がして12桁の番号が分かるようにコピーして封筒などに入れて封をして提出するといいです。
次に登記原因証明情報として「解除証書」や「弁済証書」などいう名称の書類が返却されてきます。(金融機関で名称が異なります)
ただ、多くの金融機関で日付や不動産の表示がされていないことが多いので、自分で記載する必要があります。
もし、自分で申請する場合で、解除証書や弁済証書の日付や不動産の表示がされていない場合や空白の場合は、金融機関に確認してください。
あと、会社法人等番号が必要になります。
これは抵当権者である金融機関等の会社法人等番号になります。
多くの場合、返却書類の中の文書に会社法人等番号が記載されているので、それで確認可能です。
あとは代理権限証明書、いわゆる委任状です。
金融機関からの委任状は、日付が空白の場合がおおく、このまま登記申請を出しても法務局で補正となり、あなたは法務局に出向かないといけなくなります。
なので、抜けている部分があった場合は、金融機関に確認してください。
登記申請する際は法務局に登録免許税を納める必要があります。
登録免許税は不動産1つにつき1,000円です。
マンションの場合、部屋と敷地権が対象になることが多く、この場合は2,000円となります。
抵当権抹消登記の前に申請しないといけない登記がある場合 住所や氏名が変わっている場合
もし、登記簿上の住所と現在のあなたの住民票上の住所が異なる場合は、「所有権登記名義人住所変更」登記が必要になります。
また婚姻や離婚等で氏が変わっている場合は「所有権登記名義人氏名変更」の登記が必要になります。
添付書類は住所変更の場合、登記簿に記載されている住所とあなたの現在の住所がつながる「住民票」が必要です。
氏名変更の場合は、登記簿の氏名と現在の氏名がつながる戸籍謄本が必要です。
登録免許税は不動産1つにつき1,000円です。
登記申請書に記載した住所と登記簿の住所がつながっていないと登記は受理されないので注意してください。
分からなかったら司法書士に相談
抵当権抹消登記を放置してしまうと、面倒な問題になることをご理解いただけたかと思います。
銀行から書類をもらって自分で登記申請することもできます。
最初は自分で行おうとしても、調べるのが面倒とか法務局に聞くのが面倒…そのような方も多いし、後回しになってから司法書士に相談する方もいます。
時間がなくて法務局にいく時間はない、自分で調べるのが手間、という方は司法書士に依頼してください。
手続をする報酬は頂きますが、あなたの代わりに抵当権抹消登記の手続を行うことができます。
面倒であっても、専門家に頼って頂きたいです。
身近に司法書士がいなければあなたの住んでいる都道府県の司法書士会に連絡して、司法書士を紹介してもらうのもありです。
さらに、所有者で登記簿の住所と現在の住所が異なる場合には、所有権登記名義人住所変更登記をする必要もあります。
住民票が必要になることもあるので、抵当権抹消登記は司法書士に依頼することをおすすめします。
そこで費用を安くしたいと自分で登記申請したい方もいるでしょうが、書類も全てが完璧ではありません。自分で加筆しないといけない部分(不動産の表示など)があります。
書類見て自分でできそうもないと直感で感じたら司法書士に依頼してください。
まとめ
抵当権抹消登記の書類を銀行から送られてきたら速やかに手続をしましょう。
面倒であれば司法書士に依頼することをおすすめします。
今回は
『住宅ローン完済して金融機関から書類をもらったら早めに抵当権の抹消登記をしましょう!江戸川区船堀の司法書士が解説』
に関する内容でした。
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