抵当権 抹消するとき債務者・設定者の住所が変わっているとき、住所変更登記は必要なのか?

ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 資格試験アドバイザー 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。

はじめに

住宅ローンを完済しました。
抵当権の抹消登記をお願いしたいのですが、登記簿に記載されている住所が、甲区・乙区とも異なっています。
両方とも住所を変更を変更してからでないと抹消はできないのでしょうか?

抵当権を抹消するに際して、ローン返済時に住所を変えることは多々あります。
その場合に、住所変更は必要となるのか、今回は紹介します。

所有権に関する事項(甲区)で所有者の住所が異なる場合 住所変更の登記が必要か?

結論から書くと、不動産の登記事項証明書に記載されているあなたの住所が現在と異なっている場合、住所変更登記が必要です。

住所変更登記は、できれば、引っ越ししたときにやっておくといいです。

というのも、何度も住所変更してしまうと、住所がつながる住民票が取得できなくなることがあるからです。

その場合は、戸籍附票を用意することになりますが、戸籍附票は本籍地の役所で取得することになるので、住所地と本籍地が違う場合は取得するのにちょっと面倒になります。

ただし、戸籍附票は保管期間が伸びましたが、役所によっては古い戸籍附票は廃棄処分されていることもありえます。

そうなると住所変更登記する際に面倒になります。

現在の住民票(本籍地入り)と戸籍附票が廃棄処分されたことを証するもの、及び登記済権利証が必要になります。

上記の場合には管轄法務局に確認されてから登記申請したほうが得策です。

なお、令和8年4月1日から所有権登記名義人住所変更登記の義務化が予定されています。

所有権以外に関する事項(乙区)で債務者の住所が異なる場合 住所変更登記は必要か?

抵当権で登記事項になっている債務者の住所ですが、現状と異なっていることが多いです。

その場合、債務者の住所変更の登記をしてからでないと抵当権の抹消登記をする際に変更登記をしてからでないと抹消できないのでしょうか。

実務では、抵当権の債務者の住所が現状と異なっていても、抵当権の抹消登記をすることができます。

おそらく、抵当権の場合、債務者の変更登記をするときは、債務者だけではできず、抵当権者や設定者を巻き込む必要があるからかもしれません。

なので、実務では債務者の住所が異なっていても抵当権の変更登記をせず、抹消登記を申請します。

住宅ローン返済途中に住所を変えた場合、金融機関に報告する必要があるか?

私見ですが、住所を変えた場合は、銀行の担当者に報告する必要があるでしょう。

その場合に債務者の住所変更登記をするかどうかは、金融機関に確認されるといいでしょう。

金融機関も登記申請の場合当事者となるので、登記簿の公示の観点から変更登記を債務者に要請することもあります。

多くの場合は所有者と債務者は同じのため、住所変更登記とともに抵当権の変更登記もまとめて行うかもしれません。

まとめ

抵当権抹消登記に際しては、債務者の住所が変わっていても、抵当権の変更登記は不要です。

ただし、所有者の住所が変わっている場合は、住所変更登記をしてからでないと抹消登記はできないことをおさえてください。

今回は
『抵当権 抹消するとき債務者・設定者の住所が変わっているとき、住所変更登記は必要なのか?』
に関する内容でした。

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司法書士・行政書士 桐ケ谷 淳一

鉄道(乗り鉄・撮り鉄両方)と麻婆豆腐・担々麺をこよなく愛する司法書士・行政書士です。
ひとり会社設立、副業・複業、小さな会社の企業法務の分野を得意としています。
1977年1月 東京生まれ東京育ち
2000年 日本大学法学部法律学科卒業
2004年 司法書士試験合格
2005年 行政書士試験合格
2007年 東京都江戸川区葛西駅前にて司法書士事務所・行政書士事務所を開業
2017年 平成27・28年施行改正会社法・商業登記規則、役員変更登記の注意点(株式会社レガシィから)のCD・DVDを出しました。

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