東京都江戸川区 ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 資格試験アドバイザー 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
はじめに
相続開始のときに、意外と便利なツールが有ることをご存知でしょうか。
「法定相続情報一覧図」
これがあると、手続が楽に進めることができる便利なツールです。
どんなものかを紹介します。

法定相続情報証明制度とは?
相続手続きで不動産の名義替えをしたり、金融機関に名義変更する際に、戸籍謄本を何度も取り直す必要がでてきます。
戸籍謄本何通も取得するのは面倒なのでなんとかならないものか?
それでできた制度が「法定相続情報証明制度」です。
法務局に戸籍謄本等の束を提出し、あわせて相続関係を一覧にした図(これを「法定相続情報一覧図」といいます)を出せば、法務局でお墨付きをいただけます。
その一覧図を登記や被相続人名義の預金の払い戻しなどに利用すれば、わざわざ戸籍謄本の束を出す必要もなく、戸籍謄本も何度も請求する必要がなくなります。
「法定相続情報一覧図」はどんな場合に使えるのか?
法務局で所定の手続きをして、「法定相続情報一覧図」が手に入ったらどんな手続に使えるのでしょうか。
この制度ができたのは、平成29年と結構新しいです。
この制度ができた当時は、相続登記申請と被相続人名義の預貯金の払い戻しくらいにしか使えず、正直使い勝手はよくありませんでした。
しかし、現在は、利用範囲は拡大され、上記手続のほか、相続税の申告書への添付や年金等の手続きの際にも利用できるようになりました。
相続放棄などの裁判では使えるかについては、現時点では分かりません。
使えるかどうか各裁判所で異なるようなので、提出される裁判所に確認するといいでしょう。
個人的にはまだ相続放棄の申述には法定相続情報一覧図の提出は難しいと思っています。
せっかくの制度だし、同じ法務省なので「相続」に関する様々なものに利用できるといいですね。
「法定相続情報一覧図」登記申請前にも提出できるか?
相続は開始したが、遺産分割協議がまとまらず時間がかかりそう。
また、財産調査にも時間を費やしそう。
相続人調査は終わったので、一覧図だけ提出したいという場合、この制度は利用できるでしょうか。
答えはできます。
法定相続情報一覧図作成及び申請にあたり書類としては以下のものが必要です。
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍
- 被相続人の住民票の除票の写し(もしくは戸籍の附票の写し)
※廃棄されている場合は、一覧図には被相続人の最後の住所の記載に代えて最後の本籍を記載 - 相続人全員の戸籍謄本
- 申出人の住所・氏名を確認できる公的証明書
- 一覧図に住所を記載する場合は住民票の写し
他にも相続人によっては書類が必要になることもありますのでご注意ください。
なお、内容が重複するもの又は他の者に係る証明書で兼ねることができるものについては、重ねて取得する必要はありません。
まず、先に戸籍関係を揃えて、一覧図だけ法務局に申請するのもありです。
一覧図の保管及び交付の申出
一覧図の保管及び交付の申出は以下の法務局(登記所)で行うことができます。
- 被相続人の本籍地
- 被相続人の最後の住所地
- 申出人(相続人のうちのひとり)の住所地
- 被相続人を表題部所有者もしくは所有権の登記名義人とする不動産の所在地を管轄する法務局
なお、申請方法は窓口か郵送にて行います。
費用は無料です。
郵送で一覧図を申請し、郵送返却を希望する場合は返信用封筒(レターパックプラス)を入れておくようにしてください。

まとめ(今日の気づき)
「法定相続情報一覧図」があると、登記申請だけでなく金融機関での相続手続など様々な手続に使えるので便利。
「法定相続情報制度」を活用して相続開始後の手続を円滑にしてみてはいかがですか?
今回は
『相続開始後の便利な制度!「法定相続情報証明制度」 江戸川区の司法書士・行政書士が解説』
に関する内容でした。
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参考書籍
![]() | ケース別法定相続情報証明制度書類作成のポイント 日本司法書士会連合会 新日本法規出版 2019年10月 売り上げランキング :
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![]() | 相続手続が簡単に法定相続情報証明制度の利用の仕方 碓井孝介 日本加除出版 2017年06月 売り上げランキング :
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