抵当権者の取扱店の表示について 信用金庫等でも取扱店の表示の記録がされる?【司法書士実務日記】
ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
目次
はじめに
今回は司法書士実務の不動産登記編。
抵当権者が銀行等の場合、どこが取扱店なのか、申請書に記載があれば登記事項として記録される扱いになっています。
大手都市銀行だと、支店が多く、どこが取扱店となって業務を行っていたかをしる実績は大きいので取扱店を登記していました。
では、地域密着型の金融機関の信用金庫や信用組合などは取扱店を記録できるのか、今回は書きます。
抵当権者の取扱店の表示について
信用金庫などで取扱店の表示の登記はできるか?
不動産実務において、かつては一部の法務局では、取扱店の表示が申請書に記載されていれば、取扱店は登記される扱いでした。
しかし、平成20年頃に信用金庫・信用組合などは、取扱店の表示を登記申請書に記載しても、登記されない扱いに変わりました。
信用金庫でも、本部で案件を管轄することが多く、取扱店を表示する実益が少ないとも言えます。
信用金庫でも取扱店の表示が入るようになった
しかし、上記扱いが変更になりました。
登記研究という司法書士が実務で参考にする月刊誌に、以下のような記載がありました。
(要旨)
信用金庫・信用組合・信用保証協会(以下「信用金庫等」という。)を抵当権(根抵当権を含む。以下同じ。)者とする抵当権の設定の登記の申請書に当該信用金庫等の取扱店を記載して申請があった場合、登記記録に信用金庫等の取扱店を表示して差し支えない。(登記研究866号質疑応答より)
登記研究によると、信用組合・信用保証協会を抵当権者とする抵当権の設定登記の申請書に取扱店を記載して申請しても、取扱店の表示はできないと以前の登記研究では書かれていました(登記研究449号89頁、492号119頁)。
銀行を抵当権者とする場合は、取扱店の表示を申請書に記載すると、登記記録に取扱店が表示されます。
信用金庫等でも一定の区域内ではあるものの複数の支店があるため、取扱店の表示を記録しても問題ないのかという質問に対し、ご意見のとおりと回答しました。
なので、以前の登記研究と異なり、信用金庫等でも取扱店の表示が記録できるようになりました。
実務での運用で気をつけないといけないことは?
おそらく、信用金庫等でも取扱店の表示を入れる実益があるかと思われるので、登記申請の際には、担当者に確認するべきです。
抵当権設定契約書もしくは登記委任状に取扱店が書かれている場合は、登記申請の際に記録するという趣旨で今後は実務で動くことになろうかと思います。
ただし、昨今の金融機関の置かれている環境は厳しいものがあり、合併なり、支店間の統合も進むと思われます。
なので、抵当権設定当時は取扱店はあっても、追加設定する際は当該取扱店が存在しないこともあります。
なお、取扱店の表示の変更登記は抵当権者からの単独申請ですることができ、登記原因証明情報を添付して行うことになります。
変更の年月日は記載されず、取扱店だけが変わる形になります。
まとめ
今回の信用金庫等の取扱店については、私も抵当権設定登記をして、確認をしております。
なので、実務においても、今後は信用金庫で取扱店を入れる形になると思われます。
ここは信用金庫等で扱いが異なるので、確認されることをおすすめします。
今回は
『抵当権者の取扱店の表示について 信用金庫等でも取扱店の表示の記録がされる?【司法書士実務日記】』
に関する内容でした。
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