東京都江戸川区葛西駅前 ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
目次
はじめに
2019年は4月末に平成が終わり、5月から新元号。
新元号は2019年4月はじめに発表されると言われています。
ところで新元号を商号にすることはできるのでしょうか?
合わせて新元号を商標登録できるのかも含めて紹介します。
新元号を商号にしたり商標登録をすることはできるか?
「新元号」や「平成」を商号に使用できるのか?
結論は、「新元号」や「平成」を商号に使うことは認められています。
理由は先例や通達で使用できないとされているからです。
では、どのような商号が利用できないのか、商号の選定に関する制限は以下のとおりです。
・法令による名称使用制限。例えば銀行業や保険業、信託業法などの公益性の高い事業では
これらの業務を行わない場合、誤認されるおれのある文字の使用の禁止・公序良俗に反する商号の禁止。会社の事業目的との関連を考慮して個別に判断されるので注意
・商号中に「支店」「支社」「支部」「出張所」という文字を用いて登記することはできない
・会社の商号中に「事業部」などのように会社の一営業部門を示すような名称は使用できない
(商業登記ハンドブック第3版6~7ページ参照)
実際に、東京商工リサーチによると、2018年3月地点で「平成」を商号に用いている会社数は1,300社ほどあるそうです。
昨年のニュースになりますが、こちらが参考になります。
おそらく、新元号を商号に用いる会社はそれなりに増えると思われます。
心機一転、新元号で会社の発展をしたい経営者はいるでしょう。
平成の元号誕生時にあった「商号の仮登記」があり、新元号が出たら、商号の権利を保全していました。
しかし「商号の仮登記」の制度は今はありません。
同一商号、同一本店でない限り、類似商号とはなりませんので、結構似たり寄ったりの新元号の商号が出るでしょう。
私見ですが、新元号を用いた商号での紛争解決方法は、不正競争防止法で対応するしかないと思われます。
商標登録の新元号の扱いはどうなるか
こちらは弁理士の範囲にはなりますが、一般論だけ書きます。
特許庁ホームページには以下の通り記載されています。
元号(現元号であるか否かを問わない。)として認識されるにすぎない商標は、識別力がない(自分の商品・役務と他人の商品・役務を区別するものにはならない)ため、商標登録を受けることはできません。
さらに「平成」の商標登録についても、特許庁ホームページには以下の通り記載されています。
現元号であるか否かにかかわらず、会社の創立時期、商品の製造時期、その他の日付・期間等を表示するものとして一般に使用されている場合は、元号として認識されるにすぎません。
すなわち、現元号を表示する文字のみからなる商標「平成」は、単に現元号として認識されるにすぎないため、商標登録を受けることはできません。
改元後、「平成」が旧元号となった場合も同様で、単に旧元号として認識されるにすぎないため、商標登録を受けることはできません。
おそらく「新元号」を商標登録する方がいると思われるため、特許庁で対策をしたのでしょう。
「平成」もこの内容を見る限り商標登録は難しそうですね。
なお、個別具体的な商標登録の可否については弁理士の先生にお聞きください。
まとめ
今回のブログのまとめ
「平成」「新元号」での商号を用いた会社設立や商号変更の登記を申請することはできる
「平成」「新元号」を用いた商標登録は原則できない
今回は
『新元号を商号にすることや商標登録はできますか?小さな会社の企業法務』
に関する内容でした。
あわせて読みたい
会社設立、新元号で登記するか、平成の時代に登記するか、そのあたりはこちらのブログを御覧ください。
参考書籍
商業登記ハンドブック第3版
松井信憲 商事法務 2015年05月20日
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