東京都江戸川区葛西駅前
会社設立などの企業法務・相続専門
司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一です。
目次
はじめに
このブログで商業登記の用語解説をあまりしていなかった気がします。
今回、登記事項証明書の「役員に関する事項」で登場する「重任」について書きます。
商業登記の役員変更「重任」とは何か?
任期満了したら同じ人でも選び直す必要がある
株式会社の場合、役員の任期は非公開会社の場合で最大10年あります。
10年経過した場合、同じ人が引き続き取締役や監査役になる場合であっても、株主総会で再度選び直さなければなりません。
任期が満了したからといって自動的に任期が更新されるわけではありません。
役員変更「重任」とは何か?
取締役の任期は定款等で「選任後◯年内の事業年度に関する定時株主総会終結のときまで」となっています。
なので、3月決算の場合は、5月頃に行われる定時株主総会のときに役員改選を行うことが多いです。
大会社ですと、6月の定時株主総会で役員改選が行われます。
役員改選のとき、従前の取締役を再任することが多々あります。
つまり、任期満了してからすぐに選ばれ、その場で就任承諾するような場合、退任と就任が接続している場合、役員変更登記で「重任」が用いられます。
「重任」は「退任」と「就任」が合わさったものと思っていただけるといいでしょう。
登記原因が「重任」にならない場合も・・・
任期満了退任して、同じ人が再任された場合でも、登記原因が「重任」にならないこともあります。
まずは、「退任」時期と「就任」時期がずれる場合。
定時株主総会を開催し任期が満了し、役員改選で再任されたが、就任承諾の時期がずれてしまった場合が該当します。
その場合は「退任」と「就任」の日付のタイムラグが開くため、「重任」は使えず、「退任」、「就任」と分けて行います。
もう一つは、定時株主総会を開催せず、後日臨時株主総会を開催して役員改選を行った場合。
任期が満了していたにもかかわらず、役員改選を失念していた場合です。
この場合も、同じ人が臨時株主総会で再任されても、「重任」とすることはできません。
この場合は、定時株主総会を本来開催する末日をもって「退任」とし、役員改選のときに「就任」として登記されます。
なお、後者の場合、役員改選されるまでの間、取締役の権利義務者として会社に対して責任を負う立場になるので注意してください。
まとめ
役員変更の登記で「重任」が使えるのは、「退任」と「就任」が同じ日に行われ、タイムラグがない状態のときに使えると覚えておいてください。
逆に「退任」と「就任」の時期がずれた場合、たとえ同じ人が再任された場合でも「重任」は使えませんでご注意ください。
今回は
『商業登記 用語解説 役員変更で「重任」とは?』
に関する内容でした。
あわせて読みたい
あなたの会社の役員の任期は大丈夫ですか?確認されることをお勧めします。
確認方法はこちらのブログを御覧ください。
参考書籍
商業登記ハンドブック〔第3版〕
松井 信憲 商事法務 2015-05-20
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改訂版 ケース別株式会社・有限会社の役員変更登記の手続
永渕 圭一 日本法令 2017-05-17
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