「会社設立アドバイザー」
江戸川区葛西駅前、司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一です。
商業登記規則の改正点
前回は、役員の就任登記の時に新たに住民票等の本人確認証明書が必要だということを書きました。
【3分以内で読める!企業法務】取締役などの就任登記の添付書面が変わります!その1 | 司法書士行政書士きりがやブログ(きりログ)
今回は
代表者が辞任する場合の添付書面が変わる
ことについて書きます。
代表者が辞任する場合の添付書面
平成27年2月27日(金)から,代表取締役等(登記所に印鑑を提出した方)の辞任による変更の登記の申請書には,当該代表取締役等の実印が押された辞任届とその印鑑証明書を添付するか,当該代表取締役等の登記所届出印が押された辞任届を添付する必要があります。
法務省ホームページより
対象となる辞任登記申請は、以下のとおりです。
- 代表取締役の辞任の登記の申請
- 代表執行役の辞任の登記の申請
- 代表取締役である取締役の辞任の登記の申請
- 代表執行役である執行役の辞任の登記の申請
考え方としては、法務局にに印鑑を提出している方が辞任する場合の登記の申請と考えれば問題無いです。
中小企業の経営者の場合は、代表者が辞めるときに添付書面が厳格化されるというイメージを持てばいいでしょう。
改正の内容は以下のとおりです。
【改正の内容】
登記申請書に添付される辞任届は,次のいずれかに該当するものでなければならないこととなります。
・辞任した代表取締役等の個人の実印による押印及びその印鑑証明書(市区町村長が作成したもの)の添付がある。
又は
・辞任した代表取締役等の登記所届出印による押印がある。(法務省ホームページより)
つまり、辞任届に辞める代表者の個人の実印の押印及び印鑑証明書もしくは会社の代表印(法務局に届けているもの)が必要になるわけです。
今までは辞任届は認印でもいいので、勝手に辞任させることもでき、トラブルの要因の一つでした。
そこで、今回は、本当に自分の意思でやめていることを証明するため、実印と印鑑証明書を要求したものと思われます。
会社代表印でもいいが・・・
辞任届に会社代表印でもいいとなっていますが、あくまで代表者が印鑑を管理しているからということが前提になるのは言うまでもありません。
中には雇われ社長がいて、印鑑は実質的オーナーが管理している、そういう会社も中にはあります。
その場合には、従前みたいに、オーナーが雇われ社長が気に入らなければ、勝手に代表印を押して辞任させられてしまう問題が起きてしまいます。
ここは問題点だと思うのですが・・・
あと、辞任届は住所・氏名を自署させるべきでしょう。
記名押印だと、知らない間にされていたという問題を回避できるので。
いずれにしても、代表者の辞任登記申請の厳格化が行われるということを経営者の方は認識した方がいいでしょう。
実務にも影響
前回書いた取締役等の就任登記の添付書面の変更と今回書いた代表者の辞任登記の変更登記の添付書面の改正は、実務にも影響をあたえる部分が相当大きいです。
添付書面が増えるということは経営者のあなたにとっても負担が増えることを意味します。
さらに、コンプライアンスが中小企業にもより一層求められる、そんな気がします。
今回の改正点は、これから会社を設立するあなたにも大事なことです。
よく理解した上で、会社運営に当たらないと、後々トラブルのもとになります。
いずれにしても、これから実務でどう動くのか、注目すべきでしょう。
今回もご覧いただきありがとうございました。
感想等いただけると幸いです。
<関連書籍>
商業登記ハンドブック
松井 信憲 商事法務 2009-10
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非公開会社の役員変更の登記実務
勝田 一男 中央経済社 2010-12
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