東京都江戸川区葛西駅前
会社設立などの企業法務・相続専門
司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一です。
目次
はじめに
会社設立する際に定款に公告をする方法を定める必要があります。
特に定款で定めなければ自動的に官報が公告方法となります。
ところで、
「『電子公告』の方が面倒でないですか」
という質問をした方がいます。
果たして電子公告のほうがいいのでしょうか?
会社設立 公告をする方法は「電子公告」でいいのか?
「公告」とは何か?
公告は、株式会社から株主や債権者などの利害関係人に対して流す「お知らせ」と思ってください。
公告すべき事項は、法律で定められており、通常会社を経営する際に「公告」として株主等にお知らせすることは決算公告くらいです。
公告をする方法としては
- 官報
- 日刊新聞
- 電子公告(インターネット公告)
があります。
最近、インターネットが普及しているので、インターネットで公告したほうが簡単だという発想から「電子公告」を定めている会社は少なくありません。
「電子公告」は意外とコストがかかる
たとえば、あなたの会社で資本金の減少をする場合を考えてみましょう。
資本金の減少の場合、債権者保護手続をする必要があります。
債権者保護手続は定款に定めた方法で行います。
電子公告を採用した場合、ただ自分の会社のホームページに公告内容を載せただけでは足りません。
公告を電子公告によりしようとするときは、公告期間中、電子公告が適法に行われたかどうかについて、法務大臣の登録を受けた電子公告調査機関の調査を受けなければならないとされています。
そして、電子公告により公告が行われた場合に適法な公告がされたことの客観的証拠資料として電子公告調査機関の作成に係る調査結果通知があり、これを「公告をしたことを証する書面」として添付します。
そのコストですが、官報公告をするよりも費用がかかります。
なので、「電子公告」が楽だと思って公告方法を「電子公告」にすると、思わぬ出費がかかることを承知してください。
決算公告にも要注意!
「電子公告」を公告方法で定めた場合、ホームページに貸借対照表(大会社にあっては貸借対照表と損益計算書)を掲載すれば一応会社法上はクリアされます。
ただ、意外と盲点なのは、決算公告をする際、要旨の公告だけしている会社。
官報の場合は決算書類の要旨だけを載せれば足りますが、電子公告の場合、全文を掲載しなければ、会社法に定めた決算公告を掲載したということにはなりません。
よく、会社のホームページに決算書の要旨だけを載せている会社がありますが、公告方法が「電子公告」の場合は、間違っているということになり、会社法違反だと思われてしまうので要注意です。
まとめ
会社を設立した当初は、比較的費用の安い「官報」を公告方法と定めたほうが経営上のリスクも減らせいいかと思います。
ある程度の規模になった場合に、「電子公告」にすればいいかと思います。
今は「インターネットの時代」だからといって安易に公告方法を「電子公告」にすると思わぬ落とし穴にはまりますので注意です。
今回は
『会社設立 公告をする方法は「電子公告」でいいのか?』
に関する内容でした。
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