定款に企業理念・経営理念を入れることができるのか?
東京都江戸川区葛西駅前、ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
目次
はじめに
これからの時代、副業や複業が進み、フリーランスの方で法人化したい方が増えて来ると思っています。
そして、会社設立手続きは登記も含めより簡素化に向かっていくでしょう。
ますます差別化を図るために定款はより重要になってきます。
雛形をただ真似るのではなく、オリジナルな条項を入れたりすることもより重要になります。
ところで、定款に企業理念、経営理念を記載することができるのかという問題があります。
定款に企業理念を入れることができるの?
大企業の株主提案で、会社の掟を入れるものが…
2020年のある会社の株主提案を見ていたら、面白い株主提案をしている会社のプレスリリースを発見しました。
精神論的な内容を定款に盛り込むよう決議してほしい内容です。
このような精神論的内容も定款の条項に盛り込むことができます。
株主提案に関する書面受領および当該株主提案に対する当社取締役会意見に関するお知らせ(三井金属鉱業株式会社より)
なぜ経営理念・企業理念は大事なのか?
上記の精神論を条項に盛り込むかは別にして、企業理念を定款に入れるかどうかはしっかり考えるべきです。
私の場合は最初の打合せのときに、起業される方からなぜこの会社を設立したのかヒアリングします。
なんとなく法人化したいという方は、間違いなく、数年後に会社自体存続しなくなるでしょう。
熱い思いをもって会社を作って社会貢献したいはずなのに、ただ単に会社を作りたいというのであれば、お金と時間のムダです。
あなたが設立したい思い、それが軸になって会社経営が成り立っていくのです。
さらに、これからは「個人の時代」となり、複業・副業が増えて法人化がしたい人がさらに増えます。
そうなると企業理念は大事かつ重要になります。
企業理念が共感されるから周りから応援されやすくなる!
最近、資金調達の方法で注目されているのはクラウドファンディング。
これはあなたの会社の事業に共感できるから、これだったら投資しても応援しがいがあるというかたちです。
これからの会社経営は「共感」されなければ生き残ることはできないのです。
「共感」こそが経営理念・企業理念なのです。
就職も、自分のやりたいことと企業理念がマッチすれば、どんどん入ってくる時代になるだろうと思います。
定款に・企業理念を記載するか?
前置きが長くなりましたが、やっと今回のお題に入ります。
定款に経営理念を記載するかについて記載すべきでないという意見があります。
いちど定款に記載してしまうと、企業理念を変更するには株主総会の特別決議が必要。
運営自体も時代によって変わってくるから企業理念そのものを定款にいれるべきではないと考えているようです。
私はその意見も一理あると思いますが、定款に企業理念を盛り込むべきだと考える立場です。
そもそも、企業理念という軸や会社設立にかける思いはそう簡単には変わらないはずです。
軸がブレる経営をするから、会社が傾いたりしてしまい、会社を取り巻く方々に影響を及ぼしてしまうのです。
柱がしっかりしているからこその会社経営。
企業理念を定款に載せるだけでも、言葉が紙面(もしくはデータ)に残るので忘れることはありません。
絶えず定款をみないと経営自体が成り立たないことを考えたら、定款に企業理念は載せるべきだと私は考えます。
ちなみに、私の場合は定款の前文に経営理念・企業理念を記載していますが、今のところ、公証役場から訂正を求められたことはありません。
なお、企業理念を定款に記載すると任意的記載事項で、会社の経営を縛る意味合いも出てくるので、身の引き締まった経営ができます。
まとめ
これからの会社設立にあたっては経営理念・企業理念をどう伝えていくかが重要です。
周りの方々に「共感」されてはじめて会社の成長にもつながるでしょう。
これから法人化をめざすあなた!
ぜひ会社設立の際、定款に企業理念や経営理念を盛り込んでください。
今回は
『定款に企業理念・企業理念を入れることができるのか?』
に関する内容でした。
あわせて読みたい
フリーランスの方向けの法人設立に関するブログはこちらから
フリーランスのための会社設立 法人化へのアプローチ | 司法書士行政書士きりがやブログ(きりログ)
参考書籍
中小企業のための戦略的定款―作成理論と実務
司法書士グループLLP経営360° 民事法研究会 2008-06
|