東京都江戸川区葛西駅前
会社設立などの企業法務・相続専門
司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一です。
目次
はじめに
日本の社長の平均年齢が60歳を超えています。
社長の高齢化で、社長自身が認知症になるリスクも高まります。
もしも、経営者であるあなたが認知症になってしまったら・・・
あなたの会社は経営どうなってしまうのでしょうか?
平成30年現在の会社法の規定に基づいて解説していきます。
もし取締役のあなたが認知症になってしまったら・・・
取締役の退任事由を再確認!
株式会社の取締役の退任事由として、任期満了や辞任、死亡、解任があります。
あと、後見もしくは保佐開始の審判をうけ、被後見人、被保佐人になってしまった場合、取締役を退任しなければなりません。
注意してほしいのは、補助類型の場合は、取締役の退任事由になっていないこと。
まだ、ある程度の判断能力があるから、会社経営をしても大丈夫だろうという判断から、被補助人になっても、取締役の退任事由になっていないものと思われます。
会社法の条文で確認しておきましょう。
第331条(取締役の資格等)
1.次に掲げる者は、取締役となることができない。
一 法人
二 成年被後見人若しくは被保佐人又は外国の法令上これらと同様に取り扱われている者
(以下略)
ひとり会社の場合のリスクを考える
もしあなたが、株主でもあり、会社の代表者であったら、認知症のリスクで会社経営が難しくなると思ったほうがいいでしょう。
判断能力がないあなたの代わりに後見人が選任されますが、後見人が被後見人であるあなたに変わって議決権を行使できるのかという問題があります。
議決権の代理権行使について定款に記載してあるにしても、それに基づいて後見人が議決権を使えるのか?
ここは議論のあるところです。
私見は、会社経営が立ち行かなくなるリスクを配慮して、後見人が議決権を行使して、取締役を選ぶという行為は致し方ないと考えます。
ただ、今後の会社経営で、株主の議決権行使を後見人に行使させるのは難しいと思われます。
経営の専門家であればいいのですが、後見人が経営の専門家とも限らないからです。
任意後見でリスクを回避
ひとり会社の場合、任意後見契約を締結するのもリスク回避の一つと言われています。
そのとき、任意後見人を誰にするのかが問題になります。
経営に明るい方でもいいですが、会社乗っ取りのリスクもあります。
そうであれば、士業専門家を任意後見人として契約を締結することも考えていいでしょう。
まとめ
取締役の退任事由として、後見開始もしくは保佐開始の審判があった場合があります。
もし、株主兼取締役の場合、自分が認知症になった場合、会社経営をどうするのかをきちんと考慮する必要があるでしょう。
認知症にならない対策もリスク管理の一つになると思うのですが、いかがでしょうか。
今回は
『もし取締役のあなたが認知症になってしまったら・・・』
に関する内容でした。
あわせて読みたい
ひとり会社の取締役が被後見人となった場合、会社経営のリスクが拡大します。元気なうちに任意後見契約を締結するのもリスク回避の一つの方法です。
こちらのブログもあわせてご覧ください。
参考書籍
商業登記実務から見た 中小企業の株主総会・取締役会
立花 宏 中央経済社 2017-04-28
|