ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
目次
はじめに
今回は商業登記・企業法務マニアック論点シリーズ。
実際に私が扱った事件をアレンジして紹介します。
今回のテーマは「定時株主総会の開催場所について」
現在の会社法では、定時株主総会の開催場所はどこでやっても構いません。
外国会社が出資している日本の会社が海外で定時株主総会を開くことがあります。
その際に、役員変更改選決議をし、その日に就任承諾をした場合、就任日付は海外で決議した日になるのか、日本時間の日付になるのか、問題になります。
役員変更~日本の会社が海外で株主総会を開き役員変更決議をした時の登記の日付は?
そもそも日本の会社が海外で株主総会を開催できるのか?
日本の株式会社が海外で株主総会を開くことについては、特段問題ありません。
平成18年5月の会社法施行前は、株主総会は原則、本店所在地又はその隣接地でしか行うことができませんでした。
会社法になって上記規定は撤廃されたので、株主総会は海外で行うことも可能です。
ただし、総会開催にあたり、株主に著しく不利益が生じる場合は、決議取消の訴えの対象になりかねないので、注意が必要です。
まあ、ひとり株式会社であれば、どこでやっても株主1名なので海外でやっても問題ないですが…
海外と日本で時差がある場合の役員変更の登記の日付はいつ?
アメリがで定時株主総会をし、その総会で登記事項に関する変更決議が成立したと想定してみましょう。
例えばアメリカのある都市で11月29日の午後3時から定時株主総会を開催した場合を考えてみましょう。
アメリカと日本だと時差が結構あります。
日本時間だと11月30日午前7時となります。
その場合、変更登記の日付はいつになるのでしょうか?
定時株主総会で役員変更決議をして、席上就任承諾をした場合、登記の変更日付はアメリカで総会を開催した日時を記載するのか、それとも日本時間の日付を記載するのか。
あなたはどう思いますか?
正解は・・・
「日本時間で記載する」
です。
おそらく、法務局が日本にあるから、登記に関する効力が発生するのもそれに合わせた形を取らざるを得ないからでしょう。
ちなみに株主総会議事録には、アメリカの日時を記載するほか、日本時間を記載する必要があることにも注意です。
そうしないと、登記官も日本時間で判断することができないので・・・
まとめ
アメリカで定時株主総会を開いた場合であっても、登記事項に関する決議を生じるのは日本時間になることを押さえてください。
今回は、実際に自分が行った案件をアレンジして紹介しました。
まぁ、実際に外国で株主総会を開催すること自体そんなに多くはないと思いますが、一応知っておくといいでしょう。
マニアック論点であることにはかわりありませんが・・・