ひとり会社の問題点は?合同会社編

東京都江戸川区葛西駅前
会社設立などの企業法務・相続専門
司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一です。

はじめに

あなたが会社を設立してもし自分の身に何か起きたとき、どうなってしまうのかご存知ですか?

もしあなたひとりの会社であったら・・・

万が一に備えて対策を立てておくことが重要になります。

今回はひとり合同会社の場合を取り上げます。

ひとり合同会社 自分の身に何か起きたとき法律はどうなるか?

社員の地位はどうなるか

あなたが万が一亡くなった場合、社員の地位はどうなるか。

株式会社の株主の場合は、相続が発生し株式を相続人間で法定相続分に従って共有で取得します。

合同会社の社員の場合はどうなのか。
根拠規定は会社法608条にあります。

(相続及び合併の場合の特則)

第608条 
1 持分会社は、その社員が死亡した場合又は合併により消滅した場合における当該社員の相続人その他の一般承継人が当該社員の持分を承継する旨を定款で定めることができる。

2 第604条第2項の規定にかかわらず、前項の規定による定款の定めがある場合には、同項の一般承継人(社員以外のものに限る。)は、同項の持分を承継した時に、当該持分を有する社員となる。

3 第1項の定款の定めがある場合には、持分会社は、同項の一般承継人が持分を承継した時に、当該一般承継人に係る定款の変更をしたものとみなす。

4 第1項の一般承継人(相続により持分を承継したものであって、出資に係る払込み又は給付の全部又は一部を履行していないものに限る。)が2人以上ある場合には、各一般承継人は、連帯して当該出資に係る払込み又は給付の履行をする責任を負う。

5 第1項の一般承継人(相続により持分を承継したものに限る。)が2人以上ある場合には、各一般承継人は、承継した持分についての権利を行使する者1人を定めなければ、当該持分についての権利を行使することができない。ただし、持分会社が当該権利を行使することに同意した場合は、この限りでない。

会社法第608条第1項をご覧いただけると分かりますが、相続が発生したからといって、相続人が当然に社員の地位を承継しません

定款に社員の地位を相続人に承継させる旨の規定がなければ、社員が誰もいなくなってしまうのです。

合同会社設立のとき、定款に社員の地位を相続人に承継させるか否かの規定を置くか、慎重に判断することが大事です。

意外と定款に相続人の承継の旨の規定がなく、なくなく合同会社を解散しなければならなくなったという事例もあるので、十分注意してください。

社員が認知症になったときはどうか?

株式会社の取締役の欠格事由については、会社法第331条で定めがあります。
株式会社の取締役が後見開始の審判を受けたら、取締役の地位を失います。

また、株主の場合、議決権行使もできなくなり、後見人が議決権を行使できるかは争いがあります。

合同会社の場合はどうでしょうか?

まず、業務執行社員の地位についてですが、業務執行社員の欠格事由についての法令の定めはありません。
なので、認知症になっても、法律上は業務執行社員のままでいられます。

ただ、社員の法定退社については、会社法第607条で定めがあります。

(法定退社)

第607条 
1 社員は、前条、第609条第1項、第642条第2項及び第845条の場合のほか、次に掲げる事由によって退社する。

一 定款で定めた事由の発生
二 総社員の同意
三 死亡
四 合併(合併により当該法人である社員が消滅する場合に限る。)
五 破産手続開始の決定
六 解散(前2号に掲げる事由によるものを除く。)
七 後見開始の審判を受けたこと。
八 除名

2 持分会社は、その社員が前項第5号から第7号までに掲げる事由の全部又は一部によっては退社しない旨を定めることができる。

破産手続開始決定が出たり、後見開始の審判が出たら、社員を辞めなければなりません。
なので、結論としては社員の地位を喪失することになります。

しかし、第2項で破産手続開始決定が出たり後見開始の審判がでても退社しないと定款で定めれば、社員として残ることも可能です。
もし、2項に基づき定款で定めた場合、業務執行社員もできるし、社員を退社しなくてもいいということになります。

ひとり合同会社の場合は、法定退社事由については第2項の定めを置くべきでしょう。
ただ、認知症の状態で会社を経営できるのか大いに疑問が残るところです。

そのリスクを回避するために、認知症になったら他の社員をいれるなど、リスク対策も大事になります。

いずれにしても定款の規定次第で状況が変わるということです。

まとめ

ひとり合同会社の場合、定款の定め次第で会社の状況が変わるということを意識してください。

定款によるところが大きいので、ひとり合同会社設立の際は必ず専門家の意見を仰ぎながら設立するようにしてください。

今回は
『ひとり会社の問題点は?合同会社編』
に関する内容でした。

あわせて読みたい

ひとり株式会社の場合、どのような問題が起こるのか。今回のブログと比較しながら御覧ください。

ひとり会社の問題点とは?株式会社編 

参考書籍

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この記事を書いた人

司法書士・行政書士 桐ケ谷 淳一

司法書士・行政書士 桐ケ谷 淳一

1977年1月 東京生まれ東京育ち
2000年 日本大学法学部法律学科卒業
2004年 司法書士試験合格
2005年 行政書士試験合格
2007年 東京都江戸川区葛西駅前にて司法書士事務所・行政書士事務所を開業
会社設立・企業法務・相続を得意としています。
趣味は鉄道(撮り鉄・乗り鉄両方です)・ランニングです。
2017年 平成27・28年施行改正会社法・商業登記規則、役員変更登記の注意点(株式会社レガシィから)のCD・DVDを出しました。

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