取締役会の諸問題 招集手続を中心に
ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 鉄道大好き司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
目次
はじめに
先日、久しぶりに会社法の研修を受けてきました。
テーマは「取締役会の招集通知について」
意外と平成18年5月の会社法改正以前から存在している「株式会社」で「取締役会設置会社」は多いです。
中小企業でそれなりに従業員のいる会社は「取締役会」を置いている場合が多いです。
中小零細企業でも「取締役会」を置いている会社は、招集通知にしても神経を尖らせる必要があります。
今回はその辺りについて触れていきます。
取締役会の諸問題 招集手続について
取締役会って何をするのか?
通常、取締役会は、株主総会と異なり、会社の業務執行のことを決めたり職務執行のことを行ったりします。
さらには、代表取締役の選定・解任も行います。
取締役会で決めなければならないことは会社法で決められています。
なので、「取締役会設置会社」の取締役会の果たす役割は業務執行面で大きいのです。
取締役会の招集手続きは?
取締役会は、会社の業務執行全般について決定権限を有しているため、結構な頻度で行われています。
業務執行が滞ってしまうことを避けるためにも、2週間くらいのペースで行われていることが多いと思われます。
ところで、取締役会の招集通知は会日の1週間前に発する方法で行われ、定款でそれより短い期間を定めることも可能です。
招集方法については、法令で特段決まっていないため、口頭、メール、FAXでも構いません。
ただし、着実に取締役(監査役設置会社であれば監査役にも)に招集通知をする必要があり、招集手続に瑕疵があると、取締役会の決議が無効になるので注意です。
招集通知には、会議の目的となる事項は入れる必要がありません。
取締役会の決議方法
取締役会の決議は、決議に参加することができる取締役の過半数が出席し(定足数)、その過半数の賛成により成立します。
定足数は審議及び決議の全過程を通じて満たされていなければならないことに注意です。
また、監査役には議決権は認められていないことにも注意してください。
あと、取締役会の決議について、特別の利害関係を有する取締役は決議に参加できません。
取締役会の決議につき、特別の利害関係を有する取締役がある場合には定足数には算定されないので注意してください。
特別の利害関係を有する取締役がある場合の決議としては、競業取引行為や利益相反取引、株式の有利発行などがあります。
また、判例では代表取締役の解職に関する決議についても、当該代表取締役は特別の利害関係を有するものにあたり、決議に参加できません。
書面決議(持ち回り決議)について
取締役会でも昨今の事情から、書面決議で行うこともあるでしょう。
取締役会の書面決議が認められるのは定款に定めがある場合に限られるので注意です。
取締役会決議で登記事項が発生し、書面決議で行った場合、定款が添付書面となることにも注意です。
書面による決議ないし持ち回り決議の場合は、決議成立要件は、過半数の賛成では足りず、全員の同意があってはじめて成立するところにも注意です。
取締役会の決議の瑕疵
取締役会の招集手続(一番問題になりやすい)、決議方法や内容について法令・定款に違反する場合、決議の効力は無効になると解されています。
しかし、「特段に事情」がある場合には、決議が有効になる場合があります。(下記判例)
招集手続の瑕疵につき、当該取締役が出席してもなお決議の結果に影響がないものと認められる特段の事情があるときは、瑕疵は決議の効力に影響がないものとして、決議は有効になると解する(最判昭和44年12月2日)
まとめ
取締役会設置会社の場合、規模の大小に関わらず、招集手続をしっかりした上で行う必要があることを確認ください。
業務執行に関して重要な決議をするのが取締役会なので、会社の運営を左右することにつながることを認識してください。
もし、「取締役会設置会社」で取締役会を置く意味がないのであれば、廃止することも検討すべきです。
今回は
『取締役会の諸問題 招集手続を中心に』
に関する内容でした。
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