株主名簿の整備 中小零細企業で大事なこと!備え付けてないと過料の対象に!
ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 鉄道大好き司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
目次
はじめに
東京司法書士会の新人研修の講師の際にも言いましたが、「株主名簿の整備」「定款の見直し」については重要です。
株主名簿は会社に備えておかないといけません。
定款も会社の根本規則を定めていて、法務に関してはそれを元に経営していく必要があります。
中小零細企業の皆様へ、株主名簿・定款の見直ししっかり行っていますか?
今回は「株主名簿の整備」についてご案内します。
株主名簿の整備 中小零細企業で大事なこと!
株主名簿って何?
株主名簿とは、発行会社が株主を把握するために作成される名簿のことを言います。
株主名簿は会社法で規定されている内容を盛り込む必要があります。
会社法の規定により、どんな規模の会社であっても株主名簿をきちんとおいておかないといけません。
その義務に違反すると「過料」に処せられます。
「過料」は、役員変更などで登記が遅れてしまった場合に支払うものです。
会社法の条文で確認しておきましょう。
(株主名簿)
第121条 株式会社は、株主名簿を作成し、これに次に掲げる事項(以下「株主名簿記載事項」という。)を記載し、又は記録しなければならない。
一 株主の氏名又は名称及び住所
二 前号の株主の有する株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)
三 第1号の株主が株式を取得した日
四 株式会社が株券発行会社である場合には、第2号の株式(株券が発行されているものに限る。)に係る株券の番号(株主名簿の備置き及び閲覧等)
第125条 株式会社は、株主名簿をその本店(株主名簿管理人がある場合にあっては、その営業所)に備え置かなければならない。
2 株主及び債権者は、株式会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。この場合においては、当該請求の理由を明らかにしてしなければならない。
一 株主名簿が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧又は謄写の請求
二 株主名簿が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求
3 株式会社は、前項の請求があったときは、次のいずれかに該当する場合を除き、これを拒むことができない。
一 当該請求を行う株主又は債権者(以下この項において「請求者」という。)がその権利の確保又は行使に関する調査以外の目的で請求を行ったとき。
二 請求者が当該株式会社の業務の遂行を妨げ、又は株主の共同の利益を害する目的で請求を行ったとき。
三 請求者が当該株式会社の業務と実質的に競争関係にある事業を営み、又はこれに従事するものであるとき。
四 請求者が株主名簿の閲覧又は謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報するため請求を行ったとき。
五 請求者が、過去2年以内において、株主名簿の閲覧又は謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報したことがあるものであるとき。
4 株式会社の親会社社員は、その権利を行使するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、当該株式会社の株主名簿について第2項各号に掲げる請求をすることができる。この場合においては、当該請求の理由を明らかにしてしなければならない。
5 前項の親会社社員について第3項各号のいずれかに規定する事由があるときは、裁判所は、前項の許可をすることができない。第976条
発起人、設立時取締役、設立時監査役、設立時執行役、取締役、会計参与若しくはその職務を行うべき社員、監査役、執行役、会計監査人若しくはその職務を行うべき社員、清算人、清算人代理、持分会社の業務を執行する社員、民事保全法第五十六条 に規定する仮処分命令により選任された取締役、監査役、執行役、清算人若しくは持分会社の業務を執行する社員の職務を代行する者、第960条第1項第五号に規定する一時取締役、会計参与、監査役、代表取締役、委員、執行役若しくは代表執行役の職務を行うべき者、同条第二項第三号に規定する一時清算人若しくは代表清算人の職務を行うべき者、第967条第1項第三号に規定する一時会計監査人の職務を行うべき者、検査役、監督委員、調査委員、株主名簿管理人、社債原簿管理人、社債管理者、事務を承継する社債管理者、代表社債権者、決議執行者、外国会社の日本における代表者又は支配人は、次のいずれかに該当する場合には、百万円以下の過料に処する。ただし、その行為について刑を科すべきときは、この限りでない。七 定款、株主名簿、株券喪失登録簿、新株予約権原簿、社債原簿、議事録、財産目録、会計帳簿、貸借対照表、損益計算書、事業報告、事務報告、第435条第2項若しくは第494条第1項の附属明細書、会計参与報告、監査報告、会計監査報告、決算報告又は第122条第1項、第149条第1項、第250条第1項、第270条第1項、第682条第1項、第695条第1項、第782条第1項、第791条第1項、第794条第1項、第801条第1項若しくは第2項、第803条第1項、第811条第1項若しくは第815条第1項若しくは第2項の書面若しくは電磁的記録に記載し、若しくは記録すべき事項を記載せず、若しくは記録せず、又は虚偽の記載若しくは記録をしたとき。
名義書換や募集株式の発行をしたら株主名簿の書き換えを!
会社法976条7号を見ていただければわかりますが、株主名簿を保管し、現状の株主の状況を会社法第121条の規定によって記載しなければなりません。
しかし、私が知っている限り多くの中小零細企業は株主名簿自体を保管していません。
私が関与させていただいた会社については、株主名簿の整備を行うことにしています。
特段問題になる場合は、「名義株」や「所在不明株式」がいる場合。
名義株は平成2年の商法改正以前は,株式会社設立の際,7人以上の発起人が必要だったので、。そのため,親族等に名義を借りることもありました。
そうした方が株主として記載されている株式を,一般的に「名義株」といいます。
その影響で、所在不明株主も存在するケースがあります。
株主が不明であっても、配当なり招集手続きをする必要があります。
実際にお金を払っている株主が名義はそのまま貸している状態が続いてしまうと、相続等で株主の所在がわからなくなってしまうということもあります。
なので、名義株主がある場合は、速やかに実質株主(本来お金を出資した株主)に名義書換をしてください。
また、所在不明株主の場合は、会社が買い取ったり種類株式を発行して対応を取ることが必要です。
これを怠ってしまうと、事業承継や組織再編のときに手続が進まなくなる可能性があります。
まとめ
株主名簿を整備するということは、本来の株主は誰かということを知るためにも重要です。
少数株主であっても侮ってはいけません。
もし、株主名簿を整備する必要があれば、司法書士に相談されることをおすすめします。
今回は
『株主名簿の整備 中小零細企業で大事なこと!備え付けてないと過料の対象に!』
に関する内容でした。
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