種類株式 普通の株式とは何が違うのか?
東京都江戸川区葛西駅前 ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
目次
はじめに
最近同業から、種類株式のことについて立て続けに質問が来ております。
中小零細企業で、事業承継のために最近は設立当初から種類株式を導入しようとする会社も多いです。
あとは、ベンチャーキャピタルから資金調達するために種類株式を発行する会社もあります。
今回は種類株式のことについて触れていきます。
種類株式 普通の株式とは何が違うのか?
どんな種類株式を発行することができるのか?
基本株式には、以下の権利があるとされています。
・会社から利益配当を受ける
・株式を自由に譲渡できる
・会社が解散したときに残っている財産を受け取る
・保有する株式に正比例してすべての権限を行使できる
ただ、中小零細企業の場合、株主の譲渡については株主総会や取締役会等の承認を得てからでないと譲渡できないとか制約を受けることが多いです。
これらを、一般的に「普通株式」と呼ばれることが多く、上記に優先したり劣後したりする株式を「種類株式」と呼ばれることがあります。
種類株式にはどんなものが法定されているか?
上記株式の権利を踏まえ、会社法では、以下の9種類が定められています。(種類株式&民事信託を活用した戦略的事業承継の実践の手法 141頁より抜粋 日本法令)
譲渡制限株式 | 会社の承認がなければ譲渡できない旨の制限が付された株式 |
議決権制限株式 | 議決権の行使について、何らかの形で制限が付された株式 |
配当優先(配当劣後)株式 | 配当に関して優先(または劣後)の扱いがされる株式 |
残余財産優先(劣後)株式 | 会社が解散した際に残った財産を分けるのを受ける権利について優先(または劣後)の扱いがされる株式 |
取得請求権付株式 | 株主側が、会社に対して自己の所有する株式を取得するように請求できる株式 |
取得条項付株式 | 一定の事由が生じたことを条件に、株主の同意なしに、会社側から一方的・強制的に株主がもっている株式を取得できる株式 |
全部取得条項付株式 | 株主総会の決議をもって、その種類のすべての株式を会社が取得できる株式 |
拒否権付株式 | 黄金株ともいわれ、定款に定めた事項について、株主総会や取締役会などの決議の他に、その株式を持っている株主の承認を得なければならないと定められている株式 |
役員選解任権付株式 | 各株主グループにおいて、取締役や監査役として選任(解任)する権利が付された株式 |
種類株式を設計する場合は出口も考える
ただ、種類株式を発行すればいいのではなく、種類株式を有する株主が目的を達成したあと、普通株式に戻せるように設計する必要があります。
そうでないと、いつまで経っても会社にとって不利益な株式を発行してしまい、会社経営にも影響が出てしまうからです。
種類株式を発行する際は入り口だけでなく、出口も考えて設計することも視野に入れないといけません。
なお、種類株式の新規発行は、株主総会の特別決議にて行います。
また、既存の普通株式の種類株式への転換は、会社と転換希望株主の合意と他の全株主の同意が必要です。
まとめ
最近は、事業承継や資金調達などで種類株式が注目されています。
うまく組み合わせることで、会社の経営にも効力が出る「種類株式」。
ただ、検討する際は十分に注意して設計する必要があります。
今回は
『種類株式 普通の株式とは何が違うのか?』
に関する内容でした。
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中小零細企業で「過料」について知っておいたほうがいいことをまとめました。こちらのブログも御覧ください。
参考書籍
種類株式ハンドブック | ||||
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