東京都江戸川区葛西駅前
会社設立などの企業法務・相続専門
司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一です。
目次
はじめに
株主総会は毎年必ず開かなければなりません。
前年度の事業年度の貸借対照表や損益計算書などの計算書類の承認が必要だからです。
ところで、株主総会を招集するにあたり、いつまでにする必要があるのでしょうか。
今回は、取締役会を置かない株式会社で、ひとり会社や小さな会社の株式会社の招集手続について紹介します。
ひとり会社・小さな会社の株主総会の招集通知はいつまでにする必要があるか?
株主総会の招集手続は誰がするのか?
取締役会設置会社であれば、取締役会で株主総会の招集に関する決議をします。
取締役会を置いていない株式会社の場合、取締役の一致で、株主総会の招集をします。
ひとり会社の場合は、自分の都合のいいときに招集手続をすればいいのです。
招集通知はいつまでに発送する必要があるか?
株主総会の招集通知に関する規定は会社法第299条に定めがあります。
第299条(株主総会の招集の通知)
1 株主総会を招集するには、取締役は、株主総会の日の二週間(前条第1項第三号又は第四号に掲げる事項を定めたときを除き、公開会社でない株式会社にあっては、一週間(当該株式会社が取締役会設置会社以外の株式会社である場合において、これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間))前までに、株主に対してその通知を発しなければならない。
2 次に掲げる場合には、前項の通知は、書面でしなければならない。一 前条第1項第三号又は第四号に掲げる事項を定めた場合二 株式会社が取締役会設置会社である場合
3 取締役は、前項の書面による通知の発出に代えて、政令で定めるところにより、株主の承諾を得て、電磁的方法により通知を発することができる。この場合において、当該取締役は、同項の書面による通知を発したものとみなす。
4 前二項の通知には、前条第1項各号に掲げる事項を記載し、又は記録しなければならない。
さらに、会社法第300条で招集手続の省略の規定があります。
第300条(招集手続の省略)
前条の規定にかかわらず、株主総会は、株主の全員の同意があるときは、招集の手続を経ることなく開催することができる。ただし、第298条第一項第三号又は第四号に掲げる事項を定めた場合は、この限りでない。
取締役会を置かない会社の場合は、原則、招集期間は株主総会の1週間前までに行えばいいことになります。
さらに、定款で招集期間をさらに短く定めることも可能です。
定款で「総会の3日前」と定めている場合もあります。
また、取締役会非設置会社の場合、招集通知は一定の場合を除き、書面ですることを要しません。
以上のことから、ひとり株式会社の場合は、会社法第300条の規定も用いれば、招集手続を得ず、すぐにでも株主総会を開催することができます。
小さな会社の場合は、株主構成次第では招集手続をきちんと行う必要が出てきます。
とくに第三者株主がいる場合は、招集手続は配慮すべきでしょう。
ところで会社法第298条3項・4項の場合というのは、株主総会には出席せず書面で決議をする株主がいる場合のことを指します。
ただ、ひとり株式会社の場合は考慮する必要はありませんし、小さな会社の場合は株主構成次第では考慮する必要があることに留意してください。
まとめ
株主総会の招集手続は、ひとり会社の場合はそこまで真剣に考える必要はありません。
小さな会社の場合は、株主次第で揉めることもあり得るため、ある程度しっかり株主総会の招集手続はしたほうがいいでしょう。
今回は
『ひとり株式会社・小さな会社の株主総会の招集通知 どのようにすればいいか?』
に関する内容でした。
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ひとり会社の場合、招集手続も簡略化できますし、株主総会を開催したとみなすことも可能です。
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参考書籍
株主総会招集通知作成の実務Q&A
宝印刷 総合ディスクロージャー&IR研究所 商事法務 2016-01-07
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