不動産登記の住所や氏名の変更登記も義務化へ 2026年4月1日からの予定に 江戸川区船堀の司法書士が解説!

東京都江戸川区 ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 資格試験アドバイザー 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。

はじめに

「相続登記義務化」のことはなんとなく知っていましたが、住所や氏名の変更登記の義務化があることを最近知りました。
住所変更の登記をしないままでいると罰金みたいなことになるのでしょうか?

「相続登記義務化」のことが話題となっていますが、「住所・氏名変更登記」も義務化になります。

今回は不動産の所有権登記名義人住所・氏名変更登記の義務化について紹介します。

なぜ所有権登記名義人の住所・氏名変更登記が義務化されたのか

一番大きな要因として、住所変更登記が義務化されてなく、放置されていることが挙げられます。

住所や氏名の変更登記は、売買で不動産を売却したり、住宅ローンで抵当権を設定する場合、逆に住宅ローン完済したため抵当権抹消登記の前提としてくらいしか普通は行いません。

なので、住所氏名変更登記をしなくても、何も不都合がありませんでした。

しかし、2016年度の地籍調査によると、不動産登記簿により所有者等の所在を確認できなかった土地のうち、住所変更登記がされていないものの割合が32.4%とのこと。

これは、相続登記がされていないものに次ぐ多さとなっています。

それが要因で所有者不明土地も多く存在することになり、相続登記義務化とともに所有権登記名義人住所氏名変更登記も義務化されることになりました。

所有権登記名義人住所氏名変更登記の義務化の内容

根拠条文としては、改正不動産登記法の76条の5と第164条となります。

(所有権の登記名義人の氏名等の変更の登記の申請)

第76条の5
 所有権の登記名義人の氏名若しくは名称又は住所について変更があったときは、当該所有権の登記名義人は、その変更のあった日から2年以内に、氏名若しくは名称又は住所についての変更登記を申請しなければならない。

(過料)

第164条
2 第76条の5の規定による申請をすべき義務がある者が正当な理由がないのにその申請を怠ったときは、5万円以下の過料に処する。

改正法の条文を見ていただければ分かるかと思いますが、住所・氏名等に変更があったときから2年以内に変更登記を申請することになります。

施行日前に住所等変更が発生していたケースについても、登記の申請義務は課されます。

その場合は施行日から2年以内に登記義務を履行しなければなりません。

名義人は自然人・法人は問われません。

さらに、この登記は甲区(所有権に関する登記)が対象となり、乙区(所有権以外に関する登記)の名義人は対象になりません。

2年以内に住所・氏名変更の登記をしなければ、5万円の過料に処せられます。

職権による所有権登記名義人の住所氏名変更登記がある?

いきなり、所有権登記名義人住所氏名変更登記が義務化となると、不動産所有者も慌ててしまうかもしれません。

申請義務の実効性を確保するための環境整備策として、手続の簡素化・合理化を図る観点から、登記官が他の公的機関から取得した情報に基づき、職権的に変更登記をする新たな方策も導入ことになっています。

根拠条文は改正不動産登記法第76条の6となります。

(職権による氏名等の変更の登記)

第76条の6

 登記官は、所有権の登記名義人の氏名若しくは名称又は住所について変更があったと認めるべき場合として法務省令で定める場合には、法務省令で定めるところにより、職権で、氏名若しくは名称又は住所についての変更の登記をすることができる。ただし、当該所有権の登記名義人が自然人であるときは、その申出があるときに限る。

具体的に紹介します。

自然人の場合は、前提として本人による「申出」があるときに限定されるところに注意です。

これは住民基本台帳制度の趣旨やDV被害者等であって最新の住所を公示することに支障がある者を考慮して「申出」に限定されるものとされています。

まず、(1)所有権の登記名義人から、あらかじめ、その氏名・住所のほか、生年月日等の「検索用情報」の提供を受けておきます。

次に、(2)検索用情報等を検索キーとして、法務局側で定期的に住基ネットに照会をして、所有権の登記名義人の氏名・住所等の異動情報を取得することにより、住所等の変更の有無を確認します。

最後に、(3)住所等の変更があったときは、法務局側から所有権の登記名義人に対し、住所等の変更登記をすることについて確認を行い、その了解(「申出」と扱う)を得たときに、登記官が職権的に変更の登記をします。

自然人の場合は、上記の方法をとれば、登記義務を履行したことになります。

法人の場合には、すでに会社法人等番号が公示されており、住所も分かることから、あらかじめ「申出」を要しません。

最初に、(1)法務省内のシステム間連携により、法人の住所等に変更が生じたときは、商業・法人登記のシステムから不動産登記のシステムにその変更情報を通知することにより、住所等の変更があったことを把握します。

改正法では、所有権の登記名義人が法人であるときは、その会社法人等番号を登記事項とすることとされており、この情報連携においても会社法人等番号の利用を想定されています。

その後、(2)取得した情報に基づき、登記官が職権的に変更の登記をすることで、法人の登記申請義務を果たしたことになります。

所有権登記名義人住所氏名変更登記の施行時期はいつか

最近の新聞記事で2026年4月1日が施行日になると載っていたため、そこから義務化がスタートすると思われます。

まとめ

「相続登記義務化」だけでなく「所有権登記名義人の住所氏名変更の登記」も義務化されるのですね。

はい、なので、できれば住所や氏名が変更されたら変更登記をしておくのが安全です。

今回は
『不動産登記の住所や氏名の変更登記も義務化へ 2026年4月1日からの予定に 江戸川区船堀の司法書士が解説!』
に関する内容でした。

あわせて読みたい

相続に関するブログはこちら

参考書籍

Youtube

無料メルマガ登録

ブログとは違った内容で更新 無料メルマガ登録はこちら!
毎週月曜日に発行中
メルマガ登録フォーム

メールアドレス ※必須
名前(姓) ※必須
名前(名) ※必須

関連記事はこちら

この記事を書いた人

アバター画像

司法書士・行政書士 桐ケ谷 淳一

鉄道(乗り鉄・撮り鉄両方)と麻婆豆腐・担々麺をこよなく愛する司法書士・行政書士です。
ひとり会社設立、副業・複業、小さな会社の企業法務の分野を得意としています。
1977年1月 東京生まれ東京育ち
2000年 日本大学法学部法律学科卒業
2004年 司法書士試験合格
2005年 行政書士試験合格
2007年 東京都江戸川区葛西駅前にて司法書士事務所・行政書士事務所を開業
2017年 平成27・28年施行改正会社法・商業登記規則、役員変更登記の注意点(株式会社レガシィから)のCD・DVDを出しました。

広告