東京都江戸川区葛西駅前
会社設立などの企業法務・相続専門
司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一です。
目次
はじめに
最近、民法改正(債権法分野・相続法分野)が行われています。
債権法改正は、2020年春に施行され、相続法分野はこれから国会で審議される予定となっています。
これらの民法改正は実務でも影響を及ぼします。
さらに、ここに来てさらに民法・不動産登記法の改正が話題になっています。
相続登記 近い将来土地の相続登記が義務化されるかも?
土地の相続登記未了問題が表面化
「土地の相続登記未了問題」
土地の相続登記を行わないでほったらかしになっている面積が九州の面積を超えたとか。
相続登記をしない状態が続くと、誰が所有者か把握できなくなります。
国や地方公共団体が権利行使をしようにも、所有者が誰かが特定できず、何も出来ない状態が永遠と続きます。
国が相続登記未了問題に乗り出した
3月2日付日本経済新聞に以下の記事が掲載されていました。
上川陽子法相は2日、所有者不明の土地の増加に対応するため、民法や不動産登記法の改正を、法制審議会(法相の諮問機関)に諮問する方針を正式に表明した。
相続登記の義務化の是非を検討する。
参院予算委員会で「2018年度中の法制審への諮問をめざし研究している」と語った。
国も相続登記が未了な状態が続いているのを解決したいようです。
土地の相続登記が未了な状態がつづくと、数十年後には北海道の面積と同じくらいになるとか。
それはまずいということを国もやっと気づいたのでしょう。
相続登記未了対策としてどのようなことが行われるか?
相続登記は、現状相続人の任意で行われています。
しかし、利用価値のない土地でしかも固定資産を支払うとなると、誰も相続人が承継したがりません。
その状態が何十年も続くと、相続人が膨大になり、いざ相続登記をしようとすると、相続人の人数が把握できなくなり、相続登記手続を断念することも。
相続登記未了問題を解決するため、土地の相続登記の義務化を検討することになりました。
土地の相続登記の義務化にあたり、様々な問題があります。
- 今まで相続登記が行われていない土地につき、相続人が多数いるとき、簡便な方法で相続登記ができるのかという問題
- 相続登記をするにしても登録免許税がかかりますが、義務化にあたり、登録免許税の減免が行わるのかという問題
今後、法制審議会などで議論が詰められることと思われます。
土地だけでなく建物の相続登記も義務化されるのか?
今回は、土地の相続登記に関する義務化が議論の対象となっています。
しかし、地方や都心部でも空き家が問題になっています。
これも相続人が建物の相続をしたくないということから起きている問題です。
建物の場合、空き家が増えると治安悪化にもつながりかねません。
そこで土地の相続登記の義務化だけでなく、建物の相続登記の義務化も議論してほしいと私は思います。
まとめ
土地の相続登記未了は災害が起きた時にややこしい問題を引き起こしました。
その問題が表面化したのが東日本大震災です。
さらに建物も空き家の増加に伴い、問題が今後表面化してくるでしょう。
相続登記の義務化に当たっては様々な側面から議論されることを願っています。
日本司法書士会連合会も登記の専門家の立場から法務省に対して建設的な意見を発出されることを願っています。
今回は
『相続登記 近い将来土地の相続登記が義務化されるかも?』
に関する内容でした。
相続登記に関する参考書籍はこちらから
図解・相続登記事例集―旧民法・応急措置法から現行法
河瀬 敏雄,小林 良次 日本加除出版 2013-01-01
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〔補訂版〕相続登記申請MEMO
青山 修 新日本法規出版 2016-07-27
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