ひとり合同会社のメリット・デメリットについてコンパクト会社設立に詳しい司法書士・行政書士が解説します

東京都江戸川区 ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 資格試験アドバイザー 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。

はじめに

ひとり合同会社設立。

最近、設立のしやすさから、合同会社の設立件数が増加しています。

合同会社で会社設立したいと思ったときに、合同会社にするメリット・デメリットを知っておかないと、設立後面倒なことになります。

今回は、今後副業・複業で設立が増えるであろう「ひとり合同会社」の設立に関して、メリット・デメリットを紹介してきます。

ひとり合同会社のメリットは?(設立・運営面から)

副業・複業で法人化を目指す場合、設立当初にあまり費用をかけたくないのが、起業家の思いです。

となると、事業規模がコンパクトで今以上規模を大きくせず、自分だけのひとり会社(法人化の枠だけをメイン)を設立したい場合は、合同会社のほうがいいです。

とりあえず法人化の器を作りたいと思っている方も合同会社が向きます。

合同会社にするメリットの1つ目として、株式会社と比べて設立コストが安いということ。

定款認証が不要のため、5万円コストカットできます。

更に定款を電子署名すると、収入印紙4万円もカットできます。

ただし、電子署名した定款で合同会社を設立するときは、必ずオンライン申請で設立登記を申請する必要があります。

後は、登記申請の登録免許税。

合同会社の場合は最低6万円と、株式会社と比べると9万円安いです。

設立時のコストが電子署名を用いると、6万円プラスアルファでできるのは大きいです。

司法書士に設立登記を依頼しても、安く合同会社を設立することが可能になります。

メリットの2つ目として、合同会社は決算公告が法定化されていない、役員の任期規定がないので、運営コストを安く済ますことができるというのも、メリットです。

株式会社の場合、役員の任期があり、最低でも10年に一度役員変更の登記が必要になります。

忘れてしまうと、過料に処せられ、下手するとみなし解散のリスクもあります。

合同会社の選択 メリットも大きいがデメリットも多い

合同会社を設立するときに、いちばん大事なのが「定款」

雛形定款もネット上で色々出てきますが、自分の会社に合わせたオリジナルの定款の規定を作り込む必要があります。

自分で合同会社を設立すると、条項の意味も分からずそのまま雛形定款で対応することになります。

しかし、条項の意味も分からずただ雛形定款を使うと、設立後の運営で困ることがあります。

なので、会社の運営方針に合わせて定款を作成すべきです。

定款の作成は株式会社以上に慎重に作り込みする必要があります。

さらに、株式会社と比べて、合同会社はまだ世間一般から信用度は低いと思われがちです。

私達の業界では合同会社はだいぶ浸透していますが、一般の方はまだ合同会社の浸透・認識は低いです。

二人以上いないと合同会社を設立できないのかと思っている人も多いくらいです。(実際はひとりで設立可能です)

なので、大手会社と取引をする予定があり、法人化を目指す場合は、信用度の観点から株式会社のほうが適しています。

あとは、合同会社の運営方針を理解していないと、設立後のトラブルが出てしまうこと。

ここもデメリットと言えます。

これは定款自治の原則が株式会社より大きいことに起因します。

先程も触れましたが、定款の規定次第で、合同会社の運営は変わってしまいます。

さらに、合同会社の制度ができてから、そんなに時間が経っているわけではないため、まだ解決できていない解釈もあります。

なので、そのあたりのリスクを承知した上で、合同会社を選択するか決めてください。

設立費用が安いからと言って安易に合同会社を選択するのは避けるべきです。

まとめ

合同会社を設立するときは、今後の運営方針も合わせ、司法書士が関与したほうがいいです。

設立費用が安いから合同会社にしようとすると、リスクも出てきますので注意してください。

なお、後日合同会社から株式会社に組織変更することは可能です。

個人的には、合同会社は特に争いが生じにくい「ひとり会社」が適していると思っています。

今回は
『ひとり合同会社のメリット・デメリットについてコンパクト会社設立に詳しい司法書士・行政書士が解説します』
に関する内容でした。

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参考書籍

事例解説 合同会社の登記ー設立、商号・目的・公告方法の変更、本店移転、業務執行社員の加入・退社、代表社員の変更、業務執行社員等の氏その他の変更、資本金の額の変更、解散・清算人・清算結了、複合事例、合同会社への種類の変更ー

泉水悟 日本加除出版 2021年03月22日頃
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商業登記実務から見た合同会社の運営と理論

金子 登志雄/立花 宏 中央経済社 2021年05月25日頃
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司法書士・行政書士 桐ケ谷 淳一

鉄道(乗り鉄・撮り鉄両方)と麻婆豆腐・担々麺をこよなく愛する司法書士・行政書士です。
ひとり会社設立、副業・複業、小さな会社の企業法務の分野を得意としています。
1977年1月 東京生まれ東京育ち
2000年 日本大学法学部法律学科卒業
2004年 司法書士試験合格
2005年 行政書士試験合格
2007年 東京都江戸川区葛西駅前にて司法書士事務所・行政書士事務所を開業
2017年 平成27・28年施行改正会社法・商業登記規則、役員変更登記の注意点(株式会社レガシィから)のCD・DVDを出しました。

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