株式会社設立 「発起人の決定書」が添付書面として不要となる場合は?
東京都江戸川区葛西駅前 ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 資格試験アドバイザー 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
目次
はじめに
株式会社設立登記。
添付書面の一つに「発起人の決定書」があります。
「発起人の決定書」が添付不要となる場合はあるのでしょうか。
今回は少しマニアックな論点になりますが、検討していきます。
株式会社設立 「発起人の決定書」が添付書面として不要となる場合は?
発起人の決定が必要な場合とは?
会社設立時、定款認証したあとに、発起人の一致で様々なことを決める必要があります。
発起人の決定で決めるものとして、定款に以下のことを定めなかった場合が該当します。
- 発起人の氏名・住所・発起人に割り当てる株式の数と出資金
- 資本金の総額
- 設立時取締役、設立時代表取締役等の設立時役員
- 本店の具体的所在場所
ただし、ひとり株式会社を始めとするコンパクト株式会社の設立の場合、本店の具体的所在場所以外は定款で定めることがほとんど。
なので、実務で、「発起人の決定」で決めるのは「本店の具体的所在場所」くらいです。
本店の具体的所在場所を定款で定めることはできないか?
定款では「本店」が絶対的記載事項となっています。
なので、本店は定款に記載されるのですが、記載されるのは最小行政区画であることが実務上多いです。
例えば「東京都江戸川区」とか「千葉県柏市」などを定款の本店で定めます。
具体的所在場所まで定めてしまうと、同じ行政区内で本店移転登記するときに定款変更する必要があるため、少しややこしくなります。
私も、定款で本店の具体的所在場所まで定めてある定款を見たことはほとんどありません。
ただ、本店の具体的所在場所を定款附則で定めることはできないか考えています。
定款の条項としてはこんな感じです。
総則
第○条(本店)
当会社の本店は、東京都江戸川区に置く。附則
第○条(本店の具体的所在場所)
1 当会社の設立時の本店は、東京都江戸川区葛西一丁目2番3号に置く
2 前項の本店を移転する場合は、第○条に記載してある江戸川区内に移転する場合は定款変更を要しない。
こうすることで、いままで本店の具体的所在場所を定めていた「発起人決定書」は不要となり、添付書面がひとつ減らせないかと思っています。
実際、そのとおりに定款を認証してくれるかは微妙ですが…
本店の具体的所在場所を定款で定めれば「発起人決定書」は不要?
上記4つの内容を既に定款に盛り込んだ場合、発起人の一致で決めることがなくなります。
となると、発起人の一致で決定すべきことはすべて定款で定めたことになります。
なので、発起人の決定をする意味がなくなり、それを証する「発起人決定書」は不要となる考えになります。
あくまで私見ですが、定款に必要な事項が盛り込まれている以上、発起人決定で決めるものがなくなれば、「発起人決定書」はいらないと思います。
まとめ
登記申請につき、省エネ化を図れるものは図ったほうがいい、そのためには法的理論武装が必要。
少しでも依頼者にとって楽になればいいかと思い、商業登記を少し研究していこうと思います。
こんな定款で公証人の認証は受理されるのか、登記できるのか。
今回は
『株式会社設立 「発起人の決定書」が添付書面として不要となる場合は?』
に関する内容でした。
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