ひとり株式会社 定款に必要な条項のみを盛り込む 雛形定款をどう活用するか
東京都江戸川区葛西駅前 ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
目次
はじめに
最近、業務で定款を拝見することが多いです。
色々な定款を見ますが、考えたらこの規模の会社ではこの規定は使えないとか、この条項は取り入れてもいいかもというのがあります。
主に任意的記載事項ですが、どんな内容の定款の条項は不要なのかも含めて私見を交えて紹介します。
ひとり株式会社 定款に必要な条項のみを盛り込む
この規定は入れなくてもいいと思われる条項
個人的には株式に関する規定で、以下の規定は不要だと思います。
(手数料)
第○条 前○条に定める請求をする場合には、当会社所定の手数料を支払わなければならない。(株主の住所等の届出)
第○条 当会社の株主及び登録株式質権者はそれらの法定代理人若しくは代表者は、当会社所定の書式により、住所、氏名または名称及び印鑑を当会社に届け出なければならない。
よく雛形定款には記載のある事項ですが、そもそもひとり会社の場合、株主名簿の書換とか信託財産の表示について手数料を定めている会社はほとんど見かけません。
また、株主の印影を会社に提出する行為も、ひとり会社や中小零細企業ではほとんどありません。
なので、正直これらの規定は削除しても実務では影響ないのかと思われます。
あと、質権の登録及び信託財産の表示の請求についても、実際に使われるひとり株式会社はないように思うので削除してもいいのかと思われますが、これは何らかの影響が懸念されるので残すことが多いですね。
あと、株主名簿の書換については、株主名簿が会社に備え置く必要があり、株主リストが役員変更登記などで添付書面となることから、株主名簿の書換の方法については定款に入れておくといいでしょう。
逆に規定に入れておくといい事項とは?
株主総会で、登記に絡まない事項でも、計算書類の承認や役員報酬とかを決議することがあります。
ひとり会社であっても株主総会を開催しなければなりません。
ひとり株式会社の場合、ひとりで何でもできてしまうので、みなし総会で行うほうが合理的であると感じています。
そこで、みなし総会の規定を注意的に定款に盛り込んだほうがいいと思います。
参考例として、以下の規定を入れておくといいでしょう。
(株主総会の決議の省略)
第○条 取締役又は株主が株主総会の目的である事項について提案をした場合において、当該提案につき株主(当該事項について議決権を行使することができるものに限る。)の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、当該提案を可決する旨の株主総会の決議があったものとみなす。
2 取締役が株主全員に対して株主総会に報告すべき事項を通知した場合において、当該事項を株主総会に報告することを要しないことにつき株主の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、当該事項の株主総会の報告があったものとみなす。
まとめ
雛形定款を用いて設立した場合、実情とあっているかは確認してください。
もし、この条項なくても大丈夫だと思ったら、定時株主総会開催時に定款変更決議するのもありです。
今回は
『ひとり株式会社 定款に必要な条項のみを盛り込む 雛形定款をどう活用するか』
に関する内容でした。
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定款の記載事項である「公告をする方法」についてはこちらのブログも合わせて御覧ください。
参考書籍
会社法定款事例集第3版 | ||||
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中小企業のための戦略的定款 | ||||
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