株主総会議事録や取締役会議事録 登記で使用する場合に気をつけることは?
ひとり会社設立や小さい会社の企業法務・相続専門 司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。
目次
はじめに
2020年は新型コロナウイルスの影響で、定時株主総会の開催も大変だということをニュースで見ています。
しかし、ちょうどこのときに取締役の任期が満了となると対応にひと苦労かもしれません。
どこかのタイミングで定時株主総会で役員改選をする必要がありますが、議事録を登記申請で用いる際に注意しなければならないことをまとめました。
株主総会議事録の押印・就任承諾書の押印等はブログで書いていますので、あわせて御覧ください。
株主総会議事録や取締役会議事録 登記で使用する場合に気をつけることは?
議事録の押印で注意することは?
株主総会で取締役を選任決議するので、株主総会議事録を添付することはいいでしょう。
問題は、取締役会設置会社・非設置会社問わず定款で代表取締役を株主総会で選ぶ場合。
登記申請時は株主総会議事録を代表取締役を選んだことを証する書面として添付します。
いくら電子ハンコがあっても、登記申請時には、記名押印もしくは電子署名が必要です。
代表取締役が再任され、法務局に届けている会社実印を押していれば、他の取締役は認印で問題ありません。
問題は、新たに代表取締役が選ばれ、すでに代表取締役がいない場合で、会社実印を押印できない場合。
その場合は、出席取締役全員の実印を押印し、印鑑証明書を添付しなければなりません。
電子化が進んでも、出席取締役全員が電子署名できるとは考えにくく、書面で議事録を作成し、印鑑を押印してもらうのが現状なのかと思います。
さらに、非取締役会設置会社で、就任承諾の旨を議事録に記載し、就任承諾書を議事録記載で援用する場合、新たに選任された取締役については、議事録に記名押印した上で、実印を押印する必要があるので注意してください。
代表取締役を取締役会もしくは取締役の互選で選ぶ場合
多くの中小零細企業では代表取締役は取締役会、非取締役会設置会社では取締役の互選で選ぶことになっています。
なので、登記申請の際には、代表取締役を選定した議事録や互選書については、出席取締役が実印押印し、印鑑証明書を添付することになります。
ただし、代表取締役が再選されたり、代表取締役の地位はおりるが取締役の地位として残る場合で、その者が法務局に届けている会社実印を押印できる場合には、他の出席取締役は認印で大丈夫です。
ここでも注意なのは、新たに代表取締役に選ばれ、就任承諾書の代わりに議事録で就任承諾の旨を援用する場合、出席取締役の部分には個人実印を押印しなければなりません。
まとめ
登記申請で添付する議事録の押印についてまとめました。
デジタル化が進み、将来的にはすべて電子署名ですすめることになるでしょうが、登記申請で完全デジタルは今の状況では難しいです。
議事録の保管義務もありますので、今後の登記申請や議事録保管のあり方は注目すべきでしょう。
今回は
『株主総会議事録や取締役会議事録 登記で使用する場合に気をつけることは?』
に関する内容でした。
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