東京都江戸川区葛西駅前
会社設立などの企業法務・相続専門
司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一です。
目次
はじめに
現在、政府の「日本経済再生本部」の検討会のひとつ「法人設立手続オンライン・ワンストップ化検討会」があります。
その第6回で定款についていろいろ議論されているようです。
また、モデル定款も資料として添付してあったので、そのあたりも含め私の意見を書きます。
私は会社設立手続きの簡素化はいいとしても、起業しやすい支援体制をもっと拡充するほうが先だと思うのですが・・・
会社設立をより簡潔に!定款認証をどうするか?
そもそも会社設立にあたり、公証人に定款認証をさせる意義をもう一度考えるべきだと思います。
定款内容が法律上合致しているか、本当に発起人が会社設立をするのか本人確認できるのが利点でした。
しかし、会議では、一定の場合に公証人による審査廃止を再生事務局が提案しています。
その提案とは、一定の場合として電子署名とモデル定款を利用するというやり方です。
確かにその方法を利用すれば、起業家にとっては楽でしょう。
しかし、昨今会社を使った詐欺事件も頻発しており、会社設立がより簡素化してしまうと、ますます犯罪に利用されるという懸念もあります。
そのあたりは会議で議論されておらず、不満が残ります。
モデル定款の是非について考える
今回の会議でモデル定款案も公表されました。
株式会社で非公開会社を念頭にした定款案が示されています。
一定の内容は選択式になっていますので、使い勝手はいいでしょう。
ただ、当然問題も。
果たして、起業家が定款に記載されている条文内容を理解した上で選択するかどうか。
特に役員の任期は最大で10年ですが、役員の人数によっては任期を考慮しなければなりません。
ということを誰かが教えないと分かりません。
モデル定款の内容を知らないで会社設立するリスクは起業家のあなたが負ってくださいと言わんばかりの態度のような気がします。
このモデル定款の導入が決まれば、自分で会社を作った責任は自分で負う、定款違反の行為をやっていても知らなかったでは済まされないのです。
ますます、司法書士などの専門家を介在させたほうがいいです。
起業・創業支援を含め専門家に相談する
「法人設立手続きオンライン・ワンストップ化」は手続が簡素化するだけであって、事業計画とかそんなものまでは国は面倒見ません。
となると、起業の入り口からしっかり見据えていかないと会社設立後もうまく行かなくなります。
今後は、創業支援についても含め益々専門家の活躍が必要になるでしょう。
まとめ
会社設立手続きが簡素化されることはいいでしょうが、中身が伴っていないと、いつまで経っても起業しやすい環境とは言えないと思います。
会社設立のスピードアップだけでなく、もっと起業しやすい環境を整えることを国レベルでもっと真剣に議論すべきではないでしょうか。
それよりも、事業承継できず技術を失うことも問題だと思うのですが・・・
今回は
『法人設立手続きオンライン・ワンストップ化検討会 設立手続き簡素化よりも起業しやすい環境を整えるのが先?』
に関する内容でした。
平成30年3月12日から、会社設立登記は他の商業登記に比べて早く登記が完了しています。
詳しくはこちらのブログを御覧ください。
商業登記に関する書籍はこちら
商業登記ハンドブック第3版
松井信憲 商事法務 2015年05月20日
|