こんにちは、東京都江戸川区船堀に事務所を構える「相続・会社設立に」に特化した事務所、司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirijunshoshi)です。
目次
はじめに:次の世代のことを考えた相続対策とは
父が亡くなり、配偶者控除で相続税はかからなかったのですが、それで本当に安心していいのか心配です。
これは、70代の主婦Aさんが相談に来られた際の第一声です。
相続対策というと、一次相続(配偶者が相続人となる最初の相続)で税金を抑えることが中心に考えられがちです。
しかし、次の相続、つまり二次相続では配偶者控除が使えなくなり、税金や財産分割のトラブルが発生する可能性が高くなります。
今回は、次世代を見据えた相続対策の重要性を具体例を交えながら、司法書士の視点で分かりやすく解説します。
1. 一次相続と二次相続、その違いを理解しよう
(1)一次相続の特徴
一次相続は、夫婦のどちらかが亡くなった際に発生します。多くの場合、配偶者が財産を全て相続するため、相続税がかからないケースがほとんどです。
例えば、Aさんの場合、夫が自宅(3,000万円)と預貯金(2,000万円)を残しましたが、配偶者控除を活用することで相続税は発生しませんでした。
(2)二次相続で起こる問題
次に、配偶者が亡くなり子どもが相続人になるのが二次相続です。このとき以下のような問題が起こりやすくなります。
- 配偶者控除が使えないため、課税対象となる財産が増える。
- 基礎控除額が低くなる(法定相続人が減るため)。
- 不動産や金融資産の分割で相続人間の争いが発生しやすい。
例えば、Aさんのケースでは、子どもが2人いるため、基礎控除額は以下のように計算されます:
3,000万円 + 600万円 × 2人 = 4,200万円
一次相続では5,000万円全てが非課税でしたが、二次相続では4,200万円を超える800万円に相続税が発生する可能性があります。
2. なぜ次世代の相続を見据えるべきなのか?
(1)税金だけでなく、家族間のトラブルを防ぐため
次世代の相続では、不動産や金融資産の分割が難しいケースが多く、遺産分割協議が長引くことがあります。
特に、財産の多くを不動産が占める場合、現金化が難しく、相続人間で不公平感が生じやすくなります。
(2)二次相続は税金の負担が大きい
一次相続で節税に成功しても、二次相続で相続税が跳ね上がるケースがあります。
例えば、現金化しにくい不動産が多い家庭では、納税資金の不足が問題になることがあります。
3. 二次相続を見据えた具体的な対策方法
(1)生命保険を活用する
生命保険は、非課税枠を活用することで相続税を抑えられる有効な手段です。
非課税枠の計算例
法定相続人が2人の場合:
500万円 × 2人 = 1,000万円が非課税
Aさんの場合、生命保険で1,000万円を契約し、長男と次男を受取人に設定しました。
これにより、納税資金を確保しつつ、財産分割もスムーズに進めることができました。
(2)生前贈与を計画的に行う
年間110万円までの贈与は非課税です。
この枠を活用し、生前から子どもたちに財産を贈与することで、相続税の対象となる財産を減らせます。
生前贈与を検討する場合は、税理士との打ち合わせも大事になります。
(3)遺言書を作成して明確な分割を示す
遺言書には、財産をどのように分けるかを明確に記載することで、家族間のトラブルを未然に防ぐ効果があります。
例えば、Aさんは次のように記載しました:
- 長男には自宅を相続させる理由(近くに住み、日頃から両親を支えていたため)。
- 次男には預貯金と生命保険金を分割する理由。
遺言書を作成することで、子どもたちが納得しやすくなり、スムーズな相続手続きが可能になります。
まとめ:次世代まで安心を残す相続対策を始めよう
相続対策は、一次相続だけでなく次の世代まで見据えることが重要です。
配偶者控除だけに頼らず、二次相続で発生する可能性のある税金やトラブルを防ぐために、生前から計画的に準備を進めましょう。
- 生命保険の活用で非課税枠を最大限利用する。
- 生前贈与を活用して財産を減らす。
- 遺言書を作成して分割方法を明確にする。
これらの対策を専門家と相談しながら進めることで、家族に安心を残す相続対策が実現します。
司法書士として、私たちは相続に関する不安や悩みに寄り添い、次世代まで見据えた適切な提案を行います。
ぜひ一度、相続対策についてご相談ください。
今回は
『一次相続で安心していませんか?次の世代を見据えた相続対策の重要性を江戸川区の司法書士が解説』
に関する内容でした。
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